まず結論から
- 3歳前後は、吃音が始まる時期のまん中です。就学前の子どもを追った研究をまとめたレビューでは、始まる年齢は平均およそ33か月(2歳9か月ごろ)で、4歳までに95%の発症が済んでいました。
- 「ある日、急に」も珍しくありません。「突然始まった」と保護者が報告した割合は、研究によって40%から53.2%でした。国内の公的な解説も、発症の4割は急にある日始まると書いています。
- 良くなったり戻ったりするのが、ふつうの経過です。学会の解説は、幼児期には少しのことで症状がよくなったり悪くなったりし、これを「波」と呼ぶこと、中にはまったく出なくなる時期もあるかもしれないことを書いています。
- 多くは自然に軽くなります。幼児期の吃音の少なくとも半数は、特別な指導や支援をしなくても小学校に入るぐらいまでに見られなくなるとされ、就学前に追跡を始めた各国の研究では、自然に回復した割合は68〜96%でした。
- 保護者の接し方のまずさが原因で、お子さんに吃音が生じるわけでは決してありません。
ただし、この記事に並べる5つの記録は「その家の経過」であって、お子さんの見通しではありません。研究者自身が、続くか消えるかの手がかりは確率であって確定ではなく、リスクが低い子が続くことも、高い子が回復することもある、と保護者に伝えるよう求めています。
「3歳の誕生日から」——ある日、急に始まる
記録の最初のページには、たいてい「いつ」「どんなふうに」が書いてあります。ある母親のブログは、息子の吃音を「3歳のお誕生日から」と書き始めています。書いた時点で息子は4歳。始まってから1年です。
3歳の誕生日から吃音が始まった息子(記事時点で4歳・年中)の母の声(30代のパート主婦/個人ブログ・アメブロ)
いま多いのは、連発たまに伸発です。
数ヵ月前は力を振り絞ってもなかなか出ない難発もありました。身体(手や腕)を動かしてなんとか言葉を出していたときもあります。
息子は、ちょうど幼稚園入園のときに発症、
その年の夏休みの間の2週間だけ治る、
また幼稚園が始まったら吃音が復活して、
いまも続いております
幼稚園に入った年、3歳の誕生日を境に始まった吃音を、母は1年後にこう書き分けています。多いのは音の繰り返し、ときどき音の引き伸ばし、数か月前には力を振り絞っても出ない時期があり、手や腕を動かして言葉を押し出していたこともあった。夏休みの2週間だけ出なくなり、園が始まるとまた戻った。年少のあいだは園で指摘されることもなく、ことばの教室にも通っていない、とも記しています。ここに出てくる3つの型は、学会の解説が吃音に特徴的な中核症状として挙げる「音の繰り返し(連発)」「引き伸ばし(伸発)」「ことばを出せずに間があいてしまう(難発)」と同じものです。手や腕を動かして言葉を押し出す動きも、学会の解説にある、なんとか声を出そうとして顔や体に力が入り、手足を振り下ろしたりしてしまう体の動きにあたります。
出典: 吃音について(アラサー専業主婦のちょっぴりほっこりblog・アメブロ)(台帳: V0182)
「3歳の誕生日から」という始まり方は、研究の数字のなかでは、むしろ典型に近い位置にあります。就学前の子どもを対象にした研究を表にまとめたレビューでは、始まる年齢は平均およそ33か月で、20世紀の11の研究の平均より9か月早いものでした。
発症の6割近くが2歳0か月から2歳11か月の1年間に集中し、3歳6か月までに85%、4歳までに95%の発症が済んでいます。6歳まで受け付けた調査でも、4歳を過ぎてから始まった子は5%だけでした。
始まり方については、同じレビューが、「突然始まった」と保護者が報告した割合を研究ごとに40%・50%・53.2%と並べ、突然の発症が報告される傾向が強まっていると述べています。国内の公的な解説も、発症の4割は急にある日始まることが知られている、と書いています。「先週まではこんなふうじゃなかった」という記録の書き出しは、研究の側から見ても、よくある始まり方です。
「良くなった?」「また戻った」——記録に残る波
始まりの次に記録に増えるのが、「今週は少ない」「また出てきた」という行き来です。3年分をひとつの記事にまとめた母親は、その行き来をひとつの模様として書いています。
2歳5か月で吃音が始まり、年長で出なくなった娘の母の声(2児の母/個人ブログ・note)
その後良くなったり悪くなったりを繰り返す中で
・「あ行」が言えない時期 ・「ま行」が言えない時期 ・「は行」が言えない時期
等いろんなパターンが出現しました。 非常に興味深く観察していました。 この子の脳みそはいまどうなってるんだろうなあと、何度も不思議に思いました。
なお症状が悪化したりよくなったりの波はありましたが、最初の1~2週間ごろほど症状が酷く出ることはその後二度とありませんでした。 イメージでいうと縄を上下に大きく揺らした時にできる模様のように、大きな上下がありながらも、俯瞰してみるとちょっとずつ波が収まっていっているような感じだったように思います。
娘の吃音が始まったのは2歳5か月。最初の1〜2週間がいちばん重く、体をこわばらせて力づくで言葉を出そうとしても出ない時期だった、と母は書いています。その後は言えない音が「あ行」「ま行」「は行」と入れ替わり、悪化と回復を繰り返しながら、最初の1〜2週間ほど重くなることは二度となかった。縄を大きく揺らしたときの模様のように、上下しながら俯瞰すれば少しずつ収まっていく——3年分を見渡した母の実感です。悪化のきっかけとして母が挙げたのは風邪をひいたときと進級のときで、できることは家を安心できる環境にすることぐらいだった、とも記しています。学会の解説も、幼児期には疲労や環境の変化に敏感な子どもがいて、少しのことに影響されて症状がよくなったり悪くなったりする、と書いています。
出典: 娘の吃音、はじまりとおわり(note)(台帳: V0079)
学会の解説は、調子が良い状態、あるいは悪い状態が数週間から数か月にわたって続く人も多く、このような症状の変動を(調子の)「波」と呼ぶと説明しています。幼児期については、中にはまったく症状が出なくなる時期もあるかもしれない、とも書かれています。つまり「数週間出なかった」は、記録の中ではよくある一場面で、そこで治ったかどうかを決めることはできません。この母親が「治ったのでは」と思えたのも、出ない期間がそれまでの数週間ではなく数か月に及び、娘自身が「言わなくなったね」と口にしたときでした。
「とりあえず見守ろう」——親が調べて、決めたこと
記録には、親が何を調べ、何を決めたかも残ります。3歳前後で娘の連発と伸発に気づいた母親は、弟の妊娠・出産と時期が重なっていたことから、まず「ストレスのせいか」を疑いました。
3歳前後から吃音のある娘(記事時点で4歳10か月)の母の声(アラフォーのワーママ/個人ブログ・アメブロ)
当時、息子妊娠中→出産したこともあり、
そういったストレスから来てるのかな… と
思っていましたが、そうではないようで
少しホッとしました…
(たまたま発症しやすい年齢と重なっていた)
それに、8割が自然消滅するならば、
心配はありつつも、とりあえず見守ろう
となりました。
娘の吃音が見られるようになったのは、赤ちゃんが生まれる数か月前。単語の初めの文字を繰り返す連発と、伸ばす伸発が突然出るようになり、母はネットで調べます。そこで目にした「原因はわかっていない」「素質を持って生まれた子が急激な言語発達の中で偶然始まるという考えが有力」という説明に、ストレスのせいではないらしいと少しホッとし、「8割が自然消滅する」という数字を頼りに、心配はしつつ見守ることに決めた——記録はそう続きます。この「8割」のような数字は資料によって幅があり、公的資料は「少なくとも半数」と書き、各国の追跡研究では68〜96%とばらつきます。育て方のまずさが原因で吃音が生じるわけではない、という点は公的資料が明言しています。
出典: 1y8m&4y10m 4歳娘の吃音について①(かぞくじかん。・アメブロ)(台帳: V0060)
「見守る」と決めたあと、家でしてよいこと・控えることについては、公的資料が具体的に挙げています。子どもに「ゆっくり」「落ち着いて」などの声かけは極力控える、というのがその一つです。一方で、大人がゆっくり話す・返事までの間を長くとるといった助言が、その後の回復や持続を変えるかどうかは、確かめられていません。助言を受ける前の親子の録音を使った研究は、親の話す速さや間が子どもの吃音を変えるという強い裏づけは得られなかったとし、ただしそれは、間接的な関わり方が効かないという結論を支持するものではなく、効くという結論を支持しないだけだ、と念を押しています。だからこの記事では、記録のなかの回復を「親がこうしたから」とは読みません。接し方の具体は子どもの吃音への対応をまとめた記事に、「弟が生まれたから?」という原因の話は原因を扱った記事に譲ります。
保育園に伝える、健診で相談する——3歳半ごろの記録
経過を月齢で書いていくと、園や健診とのやりとりも自然に記録に入ってきます。2歳11か月で連発が出た息子の経過を、2歳児クラスから3歳児クラスまで月ごとに書き分けた母親の記録です。
2歳11か月で吃音が始まった息子(3歳児クラス)の母の声(アラフォー共働き・時短勤務の正社員/個人ブログ・アメブロ)
⚫︎保育園でも引き続き出てるようで、うまく言えずにもどかしそうとのこと
3歳7ヶ月
⚫︎3歳半健診で吃音のこと相談。とりあえず4歳頃まで経過観察
⚫︎少し吃音が出る頻度が減った印象
この記録は、2歳11か月の「吃音出現(連発)」から始まります。1〜2週間で少し落ち着き、園では「そこまで目立たない」と言われ、3歳0か月に伸発が出て、3歳2か月には伸発が主で連発もあり、ひと月の中でも目立つ時期と目立たない時期がある。3歳5か月、出現から半年でまた目立ち始め、母が保育園に現状を伝えると、園でも気になっていたと返ってきます。3歳6か月には伸発が落ち着いて連発が主になり、「おっおっおっおっ…」が10回ほど続くことも。そして3歳7か月、3歳半健診で相談して「4歳頃まで経過観察」。月齢で刻んだ記録だからこそ、型の入れ替わりと波が一枚で見えます。学会の解説は、急に吃音が出始めても心配そうな表情をせず話の内容に耳を傾けること、親子で吃音について話ができる関係づくりを勧めています。
出典: 【2y11m〜3y7m】吃音経過(さちの育児記録とこつこつ投資記録・アメブロ)(台帳: V0052)
3歳半健診で「4歳頃まで経過観察」と言われた記録は、国内の手引きの考え方と重なります。国の発達障害情報のポータルは、幼児吃音臨床ガイドライン(2021)の記載として、年少組までは経過観察的な支援を基本とし、年中組では積極的な介入の開始を検討し、年長組では開始を推奨する、と紹介しています。3歳は「まだ待ってよい」側にあたりますが、待つあいだにも相談してよい例外や、年齢ごとの目安は3歳の吃音の相談の目安をまとめた記事にまとめてあります。
園に伝えることについて、学会の解説は、昔は「吃音に気がつかせない方がよい」という対応が主流だったが、今はそのような考え方は否定されている、と明記しています。周りの子どもが違いを不思議に思い、「なんで『あああ』ってなるの?」といった指摘を始めるのがおおむね4歳ごろとされているので、園での見え方と家での見え方をすり合わせておく意味は、3歳の時点からあります。この記録でも、家では目立たなくなった時期に園では出ていたり、その逆だったりします。
「消えたと思ったら、年長でまた」——その後の記録
「その後どうなったか」は、記録を探す親がいちばん読みたいところです。3歳ごろに始まった娘の吃音が、いったん忘れるくらいになってから、年長で再び見られるようになった母親(保育士でもあります)の記録です。
3歳ごろに吃音が始まった娘(記事時点で6歳・年長)の母の声(30代・パートで保育士/個人ブログ・note)
そして吃音は 過ごしていく中で消えていき、気にならなくなり吃音があることも 忘れるくらいでした。
ところが、年長になり3ヶ月ほど経った頃から再び吃音が見られるようになりました。 娘の場合は、 「ありがとう」が 「あ、あ、あ、ありがとう」 というように、最初の言葉を繰り返すタイプです。
保育士として吃音のある子に出会い、しばらくすると消えていった記憶があった母は、娘のときも「様子見で大丈夫かな」と過ごしました。実際、吃音はいったん消え、あることも忘れるほどになります。ところが年長になって3か月、最初の言葉を繰り返す形で再び現れ、娘自身が「話しにくいときがある」と口にしました。小学校入学を前に、母は言語聴覚士(ことばの専門職)と話す機会を作ります。面談のあいだに吃音が出たのは1度だけで、「今すぐ何か特別な訓練や手立てが必要な状態ではなさそう」と言われて帰ってきました。学会の解説が、4歳(早い子は2、3歳)になると自分でも「言いにくい」「他の子の話し方と違う」と気づき始めると書いている、ちょうどその時期の記録です。
出典: 6歳の娘の吃音。言語聴覚士の先生とのお話。(note)(台帳: V0173)
「消えた」と「戻った」をどう数えるかは、研究でも定義の問題です。3〜5歳の吃音のある子52人を平均3.2年追った研究は、「回復した」と判定する条件を、保護者と研究の言語聴覚士のどちらもがもう子どもに吃音があるとは考えず、8段階の重症度で0か1と評定すること、自由に話した発話のうち吃った音節が3%未満であること、の3つすべてを満たすこととし、1つでも欠ければ「持続」に分類しました。その基準では、52人のうち31人(59.6%)が回復、21人(40.4%)が持続でした。同じ研究で、性別・始まった年齢・それまで続いてきた期間は、それぞれ単独では持続と関連しませんでした。研究者自身が、この結果を3〜5歳の外へ広げないよう断っています。「忘れるくらいになってから年長で戻った」という記録は、この定義で言えば、いったん条件を満たしかけて、再び外れた経過にあたります。
5つの記録を、研究の数字に重ねる
ここまでの5つの記録は、始まった年齢が2歳5か月から3歳、書いた時点までの経過が1年から3年あまりまでと、幅があります。研究の側は「いつごろ収まるか」をこう見積もっています。学会の解説は、Yairiらの研究(2005)による自然治癒率として、吃音が始まって2年後までで31%、3年後までで63%、4年後までで74%と紹介し、始まってから4年以上経つと(あるいは8歳以上になると)自然治癒の確率は減少する、と書いています。国の発達障害情報のポータルは、発症後3年で男児の6割、女児の8割が自然回復する、と書いています。
この幅に照らすと、2歳5か月に始まって年長で出なくなった記録は3年あまり、3歳に始まって4歳の時点で続いている記録は1年、3歳前後に始まって4歳10か月で続いている記録は2年近くで、どれも研究が「まだ収まりうる」としている範囲の中にあります。もちろん、続いている記録がこの先どうなるかは、記録からも数字からも決まりません。
記録によく書かれる気づきに、「言葉を話し始めるのが早かった」があります。大勢の子どもを生まれたときから追った研究(Generation R 研究)では、2歳(24か月)の時点で話す力と聞いて理解する力が高い子ほど吃音が始まるリスクは低く、18・30・36・48か月の時点の評価は吃音の持続と関連していませんでした。著者らは、この関連は因果を意味せず、関連を示しているだけだと明記しています。「言葉が早い子に多い」という印象は、少なくともこの研究の結果とは向きが合いません。ただし「早い子には出ない」とも言えず、始まりの手がかりにも、続くかどうかの手がかりにもならない、というのが今の見え方です。
記録の先で「相談しよう」と思ったら
5つの記録で親がたどった窓口は、3歳半健診、保育園、言語聴覚士でした。相談先として一般に名前が挙がるのは、幼児・学齢の子ども向けの「ことばの教室」と言語聴覚士です。小学校に入っても吃音が続く子どもでも、ことばの教室や言語聴覚士の適切な指導・支援を受けることで、多くの場合、日常生活にそれほど大きな支障なく過ごせるようになるとされています。
「待つ」と決めた場合の作法も、研究者が書いています。待つなら保護者と言語聴覚士が注意深く見守り続け、定期的に相談し、発話の変化に気づいたら連絡するよう促すべきであり、リスクの高低によらず、子どもや保護者が不安や否定的な思いを口にしているなら相談する利益がある、としています。ブログの記録が「いつ・何が・どのくらい」を残しているのは、まさにこの「変化に気づいたら伝える」ためのメモになっています。相談してよい目安や、年齢ごとの相談の窓口は3歳の記事と4歳の記事に、2歳の家庭がすでに接している窓口からの相談は二歳児の記事にまとめてあります。
他の親の記録を読むときの3つの落とし穴
落とし穴1 − 「◯か月で消えた」を、自分の子の予定表にする
記録は一つの家の経過です。研究者は、続くか消えるかの手がかりは確率であって確定ではなく、子どもは一人ひとり違い、予想外の経過をたどりうると保護者に伝えるよう求めています。数週間出ない時期があるのは幼児期の吃音ではふつうのことで、「あの家は◯か月だった」を期限にすると、測るたびに答えが変わってしまいます。
落とし穴2 − 記録の中の「こうしたら良くなった」を、効果として読む
親のブログには、見守った・話し方を変えた・環境を整えた、といった工夫と、そのあとの回復が並んで書かれます。並んでいることと、効いたことは別です。親の話す速さや間を変える助言について、助言前の録音を使った研究は、裏づけは強まらなかったが、効かないという結論でもない、と書いています。この記事が回復を「経過」としてだけ書いているのは、そのためです。
落とし穴3 − 「8割」「7割」「半数」の食い違いに振り回される
記録の親たちが頼りにした数字は、資料ごとに違います。学会の解説は始まってからの年数ごとに31%・63%・74%と紹介し、公的資料は「少なくとも半数」と書き、各国の追跡研究は68〜96%と幅を示します。追跡した年数と「回復」の定義が違えば数字は動くので、一つの数字を選んで一喜一憂するより、「多くは軽くなる。ただし続く子もいる」と読むほうが記録に近づけます。
よくある質問
3歳で吃音が始まるのは、遅いほうですか?
いいえ。就学前の子どもを追った研究をまとめたレビューでは、始まる年齢は平均およそ33か月で、発症の6割近くが2歳台に集中し、4歳までに95%の発症が済んでいました。3〜5歳の子どもを追った研究では、始まった年齢は単独では持続と関連しませんでした。
数週間出なかったら、治ったと考えていいですか?
まだ決められません。学会の解説は、調子の良い状態・悪い状態が数週間から数か月続くことを「波」と呼び、幼児期にはまったく出なくなる時期もあるかもしれないと書いています。研究では、保護者と言語聴覚士のどちらもがもう吃音があるとは考えず、重症度が最も軽い段階と評定すること、吃った音節が3%未満であることの3つをすべて満たして初めて「回復」と判定しています。
保育園や幼稚園には伝えたほうがいいですか?
学会の解説は、昔は主流だった「吃音に気がつかせない方がよい」という対応は今は否定されており、親子で吃音について話ができる関係づくりを勧めています。周りの子どもが指摘を始めるのはおおむね4歳ごろとされています。この記事の記録では、家と園で見え方が違う時期があり、伝えたことで園の側の気づきが返ってきています。
「ゆっくり話して」と声をかけるのは、よくないのですか?
公的資料は、子どもに「ゆっくり」「落ち着いて」などの声かけは極力控えるようにする、としています。一方、大人の側がゆっくり話す・間をとることで回復が変わるかどうかは確かめられておらず、研究は「効かないという結論ではなく、効くという結論を支持しないだけ」と書いています。
経過を記録しておく意味はありますか?
あります。研究者は、待つと決めた場合も保護者と言語聴覚士が見守り続け、発話の変化に気づいたら連絡するよう促すべきだとしています。いつ始まり、どの型が多く、どの時期に増えたかが残っていれば、相談のときにそのまま伝えられます。
まとめ
- 3歳前後は吃音が始まる時期のまん中で、始まる年齢は平均およそ33か月、4歳までに95%が発症している。「突然始まった」と報告した保護者は研究によって4割から5割あまり、国内の解説でも4割。
- 良くなったり戻ったりは、記録でも研究でも「波」として書かれている。数週間出ない時期は幼児期にはよくあり、それだけでは治ったとは決められない。
- 親が見守ると決めた記録は多いが、親の話し方を変える助言の効果は確かめられていない(効かないという結論でもない)。回復は経過として読み、親の対応の効果として読まない。育て方が原因で吃音が生じるわけではない。
- 3歳半健診で「4歳頃まで経過観察」と言われた記録は、年少組までは経過観察を基本とする国内の手引きの考え方と重なる。園に伝えることについては、気づかせない対応はもう勧められていない。
- 「消えて、年長で戻った」記録もある。研究の「回復」は3つの条件をすべて満たすことで、3〜5歳の52人では59.6%が回復、40.4%が持続だった。始まってからの年数ごとの自然治癒率は2年で31%・3年で63%・4年で74%と紹介されている。心配なときは、ことばの教室や言語聴覚士へ。
