まず結論から
- 就学後の子どもと中高生は、通っている学校か地域の教育委員会に相談すると、その地域の学校にある「ことばの教室」を紹介してもらえる、と国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報・支援センターが答えています。どの小学校にあるかは、地元の小学校か各地域の教育委員会に問い合わせるとよい、と幼児吃音臨床ガイドラインも書いています。
- 就学前の子どもの窓口として挙げられているのは、幼児の吃音の治療経験がある言語聴覚士(聞こえ・ことば・飲み込みの困りごとを扱う国家資格の専門職)のいる病院やクリニック、自治体のリハビリテーションセンター、大学に付属する相談室、地域の児童発達支援センターです。保健センターでも相談に対応しているところがあり、地域の言語聴覚士の相談窓口を把握している場合もあります。
- 大人が探す入口は、病院への直接の問い合わせと、都道府県の言語聴覚士会です。山形でそれにあたるのは、日本言語聴覚士協会の一覧に載っている山形県言語聴覚士会です。ただし全ての言語聴覚士が吃音の指導や支援を行えるわけではないので、事前に問い合わせるよう案内されています。この記事の資料に、山形県内の医療機関の名前は書かれていません。
- 当事者が集まる場は、全国言友会連絡協議会の加盟団体一覧の北海道・東北ブロックに山形言友会が載っています。同じページが加盟団体のない都道府県として名指ししているのは青森・秋田・福島・鳥取・長崎・沖縄で、山形はそこに入っていません。
- 公的な相談窓口は、発達障害者支援センターの全国一覧の山形県の欄に山形県発達障がい者支援センター(上山市河崎・山形県立こども医療療育センター内)が1か所だけ載っています。県内のどこに住んでいても、担当はこの窓口です。所在地が山形市ではないことに気をつけてください。
ただし、ここに挙げた名前・所在地は、いずれも各サイトを取得した時点(2026年8月〜9月)の記載です。一覧に名前が載っていることは、いま受け付けているか、いま活動しているか、吃音を診ているかを保証しません。行くと決めたら、必ずその団体・施設の案内を開き直し、「吃音を診ていますか」を先に確かめてください。
山形市で、吃音のある人が舞台に立った日があった
病院の名前を先に知りたい人が多い一方で、「この県に、同じことで困っている人はいるのか」を先に確かめたい人もいます。2024年3月、山形市で吃音をテーマにしたイベントが初めて開かれました。出演した一人が、その翌日にブログを書いています。
インタレスティングたけしさん(お笑い芸人・吃音当事者。本人公式ブログ。前日に山形県で開かれた「どもフェス」に出演した日の記録)
昨日は初めての山形県に行きまして「どもフェス」に出演してきました!!
企画された長岡さん、出演者の皆さん、ご来場の皆さん、協力してくれましたスタッフの皆さん配信をご視聴の皆さんありがとうございました!!
ブログには、その日の中身が順に書き残されています。大道芸があり、落語があり、本人のフリップとギターの漫談があって、最後は出演者全員でのトークセッション。そこで吃音の話をしたこと、オンラインでも配信していたこと、客席からの質問の時間があって予定を超えたこと。客席は埋まり、地元のテレビが撮影に来ていたことも、本人の目に映った光景として書かれています。終演後は打ち上げに行き、翌日は一人で市内を歩いて、霞城公園まで散歩したとあります。企画したのは県内の人で、名前だけが記されています。県内に何も無いように見えるときでも、その年に何かが始まっていることはある、ということです。当事者どうしの場でしか得られないものがあることは、公的な整理の側も認めています。
出典: 昨日は山形県にて「どもフェス」に出演してきました!(インタレスティングたけしのやっちゃった日記)(台帳: V0483)
常設の集まりのほうは、一覧に名前があります。全国言友会連絡協議会の加盟団体一覧では、北海道・東北ブロックに北海道言友会・岩手言友会・宮城言友会・山形言友会の4つが並んでいます(2026年8月30日閲覧時点)。同じページは、全ての都道府県に少なくとも1か所の活動拠点を築きたいがまだゴール地点が見えていないとしたうえで、加盟団体のない都道府県として青森県・秋田県・福島県・鳥取県・長崎県・沖縄県を名指しし、自分の地域で自助グループを立ち上げたい人・立ち上げに協力したい人に連絡を呼びかけています。東北6県のうち3県が空白で、山形はその空白に入っていない——地域の相談先を探している人にとっては、これがいちばん実務的な情報かもしれません。ただし全国組織は、子どもの吃音への対応方法の確認や医療機関の紹介といった個別の相談には原則として応じられないとし、希望する場合は近くの加盟団体に連絡してほしい、と明記しています。連絡する先は全国の窓口ではなく、山形の団体のほうです。例会の日時や会場、連絡先はこの記事の資料に書かれていないので、団体の案内で確かめてください。近くの自助グループの情報は、ホームページで調べるか言語聴覚士会に問い合わせても分かる、と国立障害者リハビリテーションセンターのQ&Aは案内しています。
ことばの教室に通った人が、母親になって同じ言葉と向き合う
子どもの相談先を探している保護者のなかには、自分自身にも吃音がある人がいます。自助団体の集まりで開かれた「親の話し合い」に、そういう母親の記録が残っています。
保護者(本人も吃音当事者。日本吃音臨床研究会「第7回島根スタタリングフォーラム 親の話し合い」の記録。氏名は非公開)
私自身が小学校3年生からどもり、小学生のとき、ことばの教室に行きました。メトロノームに合わせて本を読む練習をし、録音されて聞かされるのが嫌でした。自分のどもる声を聞くのも嫌だったし、その度にどもりを意識させられました。
高校卒業後、両親の反対を押し切って私は都会に出ました。社会では本読みからは解放されると思ったのが、その会社では、毎日文章をみんなの前で読まされました。社会に出たら、どもりで他人から傷つけられないだろうと思っていたのが、どもって読むと、「よくそんなんで生きてるね」と言われました。読む当番の日に出社できなくなり、苦しくなって故郷に帰りました。
結婚して、子どもが産まれ、息子がどもるようになりました。私と同じような苦しみをこの子も、と思うと、かわいそうで、息子がどもるのを聞きたくないと思いました。しかし、だんだんと子どもの苦しみを分かってあげられるのは自分しかいないと思うようになりました。
この人の記録は、小学校3年生の教室から始まって、会社の朝礼を通り、故郷へ戻り、そして息子の声のところへ戻ってきます。話し合いの場で続けて語られているのは、その後のことです。息子は小学校3年生で、友達から「おばちゃんの話し方、○○君と同じだね」と指摘されるが、そうだよと言えるようになった。子どもには、どもることをマイナスに受け止めてほしくないと願っている——ここまでが、この日の記録に残された言葉です。相談先を探している保護者にとって、この一連の順番には意味があります。どこへ行くかを決める前に、自分がどこで何を言われてきたかが先に効いてくる。公的な資料の側も、就学後は小学校の通級指導教室である「ことばの教室」が指導にあたり、就学前の相談を受けている地域もあるとして、教室を子どもの入口の一つに挙げています。
出典: 第7回島根スタタリングフォーラム 親の話し合い(吃音と上手につきあうための吃音相談室・日本吃音臨床研究会)(台帳: V0530)
子どもの相談先として、幼児吃音臨床ガイドラインが挙げているのは次のものです。幼児の吃音の治療経験がある言語聴覚士のいる病院やクリニック、自治体の(小児)リハビリテーションセンター、大学教育学部に付属する発達や言語の相談室、そして地域の児童発達支援センター(就学前の子どもの発達を支援する施設で、言語聴覚士が在籍する場合が多く、吃音の相談窓口になっているとされています)。就学後は小学校の通級指導教室、つまり在籍する学級とは別にことばの指導を受けに通う「ことばの教室」が指導にあたり、就学前の相談を受けている地域もあります。小学校の特別支援教育コーディネーターが、就学前から連携を担っていることもあります。保健センターでも相談対応をしているところがあり、地域の言語聴覚士の相談窓口を把握している場合もあります。どの小学校にことばの教室があるか、幼児の相談に対応しているかは、地元の小学校か各地域の教育委員会に問い合わせるとよい、とも書かれています。教室に通う日々が実際にどういうものかは、上の記録が一つの答えです。始める時機についても、ガイドラインは園の学年で目安を示していて、3歳児クラス(年少組)までは経過観察的な支援を基本とし、4歳児クラス(年中組)で積極的な介入の開始を検討、5歳児クラス(年長組)で開始を推奨としています。問い合わせるときに「いま何歳か」を添えると話が早いのは、このためです。子どもの吃音外来の初診で何が行われるかは子どもの吃音外来の記事にまとめました。
大人が最初に開けた扉は、病院ではなかった
大人の入口は、子どもより細くなります。名前のついた専門外来は関東の病院にあり、この記事の資料に山形県内の医療機関の名前は出てきません。一方で、病院より先に別の扉を開けた人の記録があります。就職活動の不安が募った時期に、同じ立場の人の集まりへ初めて行った大学生です。
当事者本人(26卒・文系男子大学生。幼少期から吃音があり、就職活動が一段落した時期に書かれた note の記事。氏名は非公開)
うぃーすたプロジェクトは吃音当事者の若者を対象とした自助グループです。
社会人もいれば、同年代の大学生もいるのですごく参加しやすいです。
私が行ったときはみんなでタコパしました。
それまで吃音当事者と話をしたり、吃音について誰かと話したりしたことが無かったので、とても新鮮な体験でした。
同じ悩みを共有できて、共感してくれる仲間が多くいることが実感出来て、参加してとてもよかったと感じました。
この人が自助グループに行ったのは、大学3年生の夏、不安で爆発しそうになったころだと書いています。それまで吃音のある人と話したことも、吃音について誰かと話したこともなかった。集まりでは、同年代の学生と社会人が混ざっていて、たこ焼きを焼いていたそうです。その場には、吃音の当事者でありながら吃音を研究している人や、民間企業で当事者向けの器具を開発している人も同席していたと続きます。記事の終わりのほうで、この人は同じ立場の人の集まりに参加してみることを勧め、自分の場合は悩みを共有できたことでかなり気が楽になった、と書いています。行った先は病院ではありません。それでも、そこが最初の一歩になることはあります。公的な整理も、当事者どうしの集まりでは専門的な指導は受けられないが、そこでしか得られないものがあることは事実だとしています。
出典: 吃音と就職活動の一年(note)(台帳: V0077)
そのうえで、大人が専門職を探すときの順路は決まっています。吃音は、日本言語聴覚士協会が「ことばの障害」に含めている問題で、言語聴覚士は主に病院のリハビリテーション科や耳鼻咽喉科などのリハビリテーションのスタッフとして勤務している場合が多い、とされています。つまり「吃音外来」という看板が無くても、吃音を診る言語聴覚士のいる病院はありえます。ただし、言語聴覚士の取り扱う業務は多岐にわたるため、必ずしも全ての言語聴覚士が吃音の指導や支援を行えるわけではありません。そこで吃音ポータルサイトは、あらかじめ病院等に直接問い合わせるか、日本言語聴覚士協会・各都道府県の言語聴覚士会に尋ねるよう案内しています。山形では、協会の都道府県士会一覧に載っている山形県言語聴覚士会がそれにあたります。名前のついた専門外来として資料にあるのは、国立障害者リハビリテーションセンター病院の成人吃音相談外来で、18歳以上を対象にした初診専用の外来ですが、「現在、受診希望の方が多く予約が取りにくくなっております」と案内されています。埼玉県所沢市にある病院なので、山形からは新幹線で向かうことになります。ここを最初の一本の電話の先に置くより、地元で相談できる先を先に当たるほうが、資料の示す順番に沿います。
山形で、最初の一本の電話をどこにかけるか
ここまでの入口を、「最初にかける先」の形に並べ直します。固有の施設名を先に探すのではなく、種類から辿る順番です。窓口の名前や担当は変わりやすいので、名前を覚えるより辿り方を持っておくほうが長持ちします。
- 小学生・中学生・高校生のこと— 通っている学校か、地域の教育委員会。その地域の学校に設置されている「ことばの教室」——在籍する学級とは別に、ことばの指導を受けに通う教室で、通級指導教室と呼ばれます——などを紹介してもらえます。中学校にも少しずつ設置されてきている、とも書かれています。教育委員会には都道府県のものと市区町村のものがあり、地域の学校に指導助言をしている市区町村の教育委員会が、教育相談・就学相談も併せて行っています。本人が隠したがっているなら、保護者が先に相談に行き「聞いてきてほしいことがあったら教えて」と本人に尋ねてよい、というのが公的な助言です。
- 就学前の子どものこと— 幼児の吃音の治療経験がある言語聴覚士のいる病院やクリニック、自治体の(小児)リハビリテーションセンター、大学教育学部に付属する発達や言語の相談室、地域の児童発達支援センターが挙げられています。保健センターでも相談に対応しているところがあり、地域の言語聴覚士の相談窓口を把握している場合もあります。ことばの教室がどの小学校にあるかは、地元の小学校か各地域の教育委員会に問い合わせます。
- 大人のこと— 吃音を診る言語聴覚士のいる病院を探すには、病院に直接問い合わせるか、日本言語聴覚士協会・各都道府県の言語聴覚士会に尋ねます。山形県言語聴覚士会は、協会の都道府県士会一覧に載っています。「吃音を診ていますか」を先に聞くこと、全ての言語聴覚士が吃音を扱えるわけではないことは、上に書いたとおりです。
- 当事者が集まる場— 全国言友会連絡協議会の加盟団体一覧の北海道・東北ブロックに、山形言友会が載っています。全国組織は個別相談に応じられないので、連絡先は地域の団体です。近くの自助グループの情報は、言語聴覚士会に問い合わせても分かるとされています。当事者の集まりでは専門的な指導は受けられませんが、同じ立場だからこその助言があるとされています。
- 公的な相談窓口— 国立障害者リハビリテーションセンターが公開している発達障害者支援センターの全国一覧では、山形県の欄に山形県発達障がい者支援センター(山形県上山市河崎3-7-1・山形県立こども医療療育センター内)が載っています(2026年8月30日取得時点)。発達障害者支援センターは、発達障害のある幼児から成人までとその家族を対象に、発達や就労などの相談を受ける公的な施設です。この一覧そのものは吃音に触れていませんが、学校以外で吃音の相談を受け入れている専門機関について各都道府県の言語聴覚士会や発達障害者支援センターに問い合わせてよいことは、同じセンターのQ&Aが案内しています。
- 学校のことで、学校以外にも聞きたいとき— 「教育センター」や「特別支援教育センター」が各都道府県や政令指定都市に設置されていて、子どもと保護者、教員を対象にした教育相談を行っています。相談にあたっているのは学校現場で教育に携わってきた人が多く、機関によっては心理士が同席し、電話相談・来所相談のほか学校への巡回相談に応じているところもあります。
相談先の総論——何科に行くのか、言語聴覚士とはどういう職業か、予約待ちはどのくらいか、初回に何を持っていくか——は吃音の相談先の記事にまとめています。隣の宮城で辿る入口は仙台の記事に書きました。
一覧をどう読むか——県の窓口は山形市ではなく上山市にある
山形の一覧には、読み違えやすい点が一つあります。県の発達障がい者支援センターの所在地は、山形市ではなく上山市で、山形県立こども医療療育センターの中にあります。一覧の冒頭には、人口規模・面積・交通アクセス・既存の地域資源の有無・自治体内の発達障害者支援体制の整備状況などによってセンターの事業内容は異なるので、初めて利用する人や支援内容を詳しく知りたい人は、まずお住まいの地域を担当している発達障害者支援センターに問い合わせるように、と書かれています。山形の場合、その「住んでいる地域を担当しているセンター」は、庄内でも置賜でも最上でも、同じ上山市の窓口です。隣の宮城県のように県と市で窓口が分かれてはいない代わりに、県内のどこからでも同じ一か所に集まる形になっています。
もうひとつ、東北という広さの読み方があります。日本言語聴覚士協会の都道府県士会一覧には、青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県の言語聴覚士会がすべて並んでいます。一方、全国言友会連絡協議会の加盟団体一覧で東北に名前があるのは岩手・宮城・山形の3県で、青森・秋田・福島は加盟団体のない県として名指しされています。つまり、専門職に問い合わせる窓口は東北の全県にあるけれど、当事者が集まる会は県によって有無が分かれる、ということです。山形は、その会がある側にいます。
県内でも、住んでいる場所によって通える範囲は変わります。庄内や置賜から山形市まで通うとなると、往復で一日仕事になることもあります。そこで持ち上がるのが、ビデオ通話などを使った遠隔の相談です。言語聴覚士による支援を遠隔と対面で比べた無作為化比較試験(参加者をくじ引きのように2群に分けて比べる研究)を集めて分析した研究は、吃音のある人について、どもった音節の割合に治療直後から18か月後までどの時点でも意味のある差は見られなかった、と報告しています。著者らは、遠隔での提供は現実的な選択肢になりうるとしたうえで、試験の数が少なく、生活の質や満足感、費用についての証拠が足りないことを限界として挙げています。「同じだと分かっている」のではなく「差は見つかっていない」という段階だ、ということです。オンラインで受けられることと受けられないこと、選ぶ前の確認点はオンライン吃音相談の記事にまとめています。
なぜ窓口ごとに答えが違うのか。幼児吃音臨床ガイドラインは、相談対応機関の多くは治療には対応できないことも多いと断ったうえで、現時点では吃音の専門家の認証システムや登録システムがわが国には無く、相談に対応している施設の種類は多いと書いています。「山形には無い」と見える理由の一部は、ここにあります。同じガイドラインが示している解決の形は、連携です。幼児の吃音の治療に対応できる機関が中心になって、保健センターや保育所・幼稚園・認定こども園、地域の耳鼻咽喉科・小児科・医師会、小学校のことばの教室や特別支援教育コーディネーター、自治体の福祉や母子保健の窓口などと連携し、知識を広めながら発見と基本的な対応を分担する——そういう体制づくりが挙げられています。近くの窓口で気づいてもらい、必要になったときにつないでもらう。それが、いま国の側が提案している道筋です。
最後に、名前が似ていて紛れやすいものを一つ。吃音のある若者が接客する「注文に時間がかかるカフェ」という催しがありますが、公式サイトの開催一覧の北海道・東北の欄に載っているのは、北海道札幌市・宮城県仙台市・福島県福島市・青森県弘前市で、山形県での開催は書かれていません。同じサイトのメディア掲載歴には、2022年6月21日に山形新聞で取り上げられたことが記録されています。新聞に載ったことと、県内で開かれたことは別です。
山形で相談先を探すときに陥りがちな3つの落とし穴
落とし穴1 − 県の窓口を、山形市内にあると思ってしまう
発達障害者支援センターの全国一覧で、山形県の欄に載っている県のセンターの所在地は上山市です。一覧の冒頭は、センターごとに事業内容が異なるので、まずお住まいの地域を担当しているセンターに問い合わせるよう求めています。県庁所在地にあるはずだと思って出かけると、行き先が変わります。出かける前に、一覧で所在地を確かめてください。県内に載っているのはこの1か所で、どこに住んでいても担当は同じです。
落とし穴2 − 一つの窓口で「うちではない」と言われて、そこで止まる
窓口ごとに答えが違うのは、その人が不親切だからではなく、吃音の専門家の認証や登録の仕組みが無く、相談に対応している施設の種類が多いからです。「うちではない」と言われたら、それはその窓口の対象ではなかったということで、相談できないという意味ではありません。断られた先で「どこなら受けてもらえますか」と聞き、次の一本へ進んでください。教育委員会はことばの教室を、言語聴覚士会は吃音を診る専門職や自助グループの情報を、それぞれ案内する役割を持っています。
落とし穴3 − 相談の場で出なかったから「軽い」と受け取ってしまう
発達障害ナビポータルの解説は、保護者が症状を強く疑って相談に行っても、実際にその子と話すと思ったほど症状が出ないことが多いとし、その様子に相談を受けた側が「気にならないですね」「軽い吃音ですね」と声をかけることは、養育者にとってプラスに働くことが少ないと書いています。伴奏に合わせて歌う・2人で同じ言葉を言うといった外からタイミングが与えられる場面では症状が消えることから、吃音は発話のタイミングの障害と言われ、気をつけて話すときほど出にくいとも説明されています。持っていく材料は、専門家の合意で作られた評価の指針が挙げる6つの中核領域——吃音に関する背景の情報、ことばと言語と気質の発達、話し方の流暢さと吃音の出方、本人の反応、周囲の人の反応、生活への支障——の順に一枚にまとめておくと、窓口を変えても最初から話し直さずに済みます。まずは気づいたことを書き留めることから小さく始め、言語聴覚士やことばの教室に相談できる場合はそちらが確実です。
よくある質問
山形県内で吃音を診てもらえる病院はどこですか?
この記事の資料には、山形県内の医療機関の名前は書かれていません。案内されている探し方は、病院等に直接問い合わせるか、日本言語聴覚士協会・各都道府県の言語聴覚士会に尋ねることで、山形では協会の一覧にある山形県言語聴覚士会がそれにあたります。全ての言語聴覚士が吃音の指導や支援を行えるわけではないので、「吃音を診ていますか」を先に聞くことが勧められています。幼児については、言語聴覚士のいる病院やクリニック、自治体のリハビリテーションセンター、児童発達支援センターなどが窓口として挙げられています。
山形に言友会(当事者の会)はありますか?
全国言友会連絡協議会の加盟団体一覧の北海道・東北ブロックに、山形言友会が載っています(2026年8月30日閲覧時点)。同じページは、加盟団体のない都道府県として青森県・秋田県・福島県・鳥取県・長崎県・沖縄県を挙げていて、山形県はそこに入っていません。全国組織は個別の相談には原則として応じられないため、連絡先は地域の加盟団体になります。例会の日時や会場、連絡先はこの記事の資料に無いので、団体の案内で確かめてください。
山形県の発達障害の相談窓口はどこですか?
国立障害者リハビリテーションセンターが公開している全国一覧の山形県の欄には、山形県発達障がい者支援センター(山形県上山市河崎3-7-1・山形県立こども医療療育センター内)が載っています(2026年8月30日取得時点)。県内に載っているのはこの1か所で、どこに住んでいても担当はこの窓口です。センターごとに事業内容が異なるので、まずお住まいの地域を担当しているセンターに問い合わせるよう、一覧の冒頭に書かれています。学校以外で吃音の相談を受け入れている専門機関について発達障害者支援センターに問い合わせてよいことは、同じセンターのQ&Aが案内しています。
子どものことばの教室は、山形のどの小学校にありますか?
学校名は、この記事の資料には書かれていません。どの小学校にあるか、幼児の相談に対応しているかは、地元の小学校か各地域の教育委員会に問い合わせるとよい、と幼児吃音臨床ガイドラインが案内しています。国立障害者リハビリテーションセンターのQ&Aも、通っている学校か地域の教育委員会に相談すれば、その地域の学校の「ことばの教室」などを紹介してくれるでしょうと答え、中学校にも少しずつ設置されてきていると書いています。市区町村の教育委員会は、地域の学校に指導助言をするなかで教育相談・就学相談も行っています。
庄内や置賜に住んでいます。オンラインの相談でもいいですか?
言語聴覚士による支援を遠隔と対面で比べた試験を集めて分析した研究では、吃音のある人について、どもった音節の割合に治療直後から18か月後までどの時点でも意味のある差は見られませんでした。著者らは遠隔が現実的な選択肢になりうるとしつつ、試験の数が少なく、生活の質や満足感、費用についての証拠が足りないことを限界に挙げています。選ぶ前に確かめておくことはオンライン吃音相談の記事にまとめています。
まとめ
- 就学後の子どもと中高生は、通っている学校か地域の教育委員会に相談すれば「ことばの教室」を紹介してもらえる。どの小学校にあるかは、地元の小学校か教育委員会に問い合わせる。
- 就学前の子どもは、言語聴覚士のいる病院やクリニック、自治体のリハビリテーションセンター、児童発達支援センターが窓口として挙げられ、保健センターが地域の相談窓口を把握している場合もある。始める時機は園の学年で目安が示されている。
- 大人は、病院への直接の問い合わせと山形県言語聴覚士会から探す。全ての言語聴覚士が吃音を扱えるわけではないので、「吃音を診ていますか」を先に聞く。資料にある名前のついた専門外来は埼玉県所沢市で、そこも予約が取りにくい。
- 当事者が集まる場は、全国言友会連絡協議会の一覧の北海道・東北ブロックに載る山形言友会。東北では青森・秋田・福島が加盟団体のない県として挙げられており、会の有無は県で分かれる。2024年3月には山形市で吃音をテーマにしたイベントが初めて開かれた。
- 公的な窓口は、発達障害者支援センターの全国一覧の山形県の欄に1か所で、所在地は山形市ではなく上山市。県内のどこに住んでいても担当は同じ。学校のことは特別支援教育センターの教育相談という入口もある。
- 窓口ごとに答えが違うのは、吃音の専門家の認証や登録の仕組みが無く、相談に対応している施設の種類が多いから。相談の場で出なかった日を「軽い」の証拠にせず、6つの領域に沿って経緯を一枚にまとめて次へ進む。一覧に載っていることは、いま受け付けていることと別。行く前に必ず案内を開き直す。