まず結論から
- 「吃音学会」と呼ばれているのは、日本吃音・流暢性障害学会です。吃音と流暢性障害(クラタリングなど)の研究の発展と、研究・医療・福祉・セルフヘルプグループ活動などに関わる者どうしの相互交流を図ることを目的に掲げています。
- 大会は毎年1回開かれてきました。2024年の第12回大会は9月7日・8日、川崎医療福祉大学、2025年の第13回大会は8月23日・24日、九州大学医学部百年講堂です。
- 会員には一般会員のほか学生会員・ジュニア会員・賛助会員という種別があり、事務局は金沢大学人間社会研究域学校教育系 特別支援教育専修に置かれています。
- 学会と、言友会のような当事者団体は別のものです。1965年に発足した言友会は日本で最も歴史が古い自助団体で、定例会や全国大会を開いています。自助グループでは学術的な知識や専門的な指導が受けられるわけではない、と公的な解説も明記しています。
- 大会に行かなくても届くものがあります。第1回からのプログラム・抄録集がPDFで公開されており、学会自身が一般向けの解説ページも出しています。
ただし、ここに書けるのは公開されている学会概要と大会の記録の範囲までです。参加の条件や申し込みの手順、当日のプログラムは年によって変わりますし、手元の資料は取得した時点のものなので、実際に足を運ぶ前には必ず学会の公式サイトで最新の案内を確かめてください。
研究者だけの場所なのか——当事者が発表する側に立った日
「学会」と聞くと、白衣や背広の人たちが専門用語で議論している場面を思い浮かべる方が多いと思います。吃音のある本人や家族が足を踏み入れていい場所なのかどうか、名前だけでは分かりません。ところが、当事者のグループが発表する側で登場した記録があります。
吃音のある10〜30代の交流サークル「うぃーすた関西」の活動報告に載った、発表したメンバーUの感想(note)
発表はとても緊張しましたが、うぃーすたの活動内容や、今後の展望などを伝えることができたと思います!
投稿の見出しは「第13回日本吃音・流暢性障害学会発表報告」。本文によれば、このサークルは8月23日の土曜日に九州大学で活動発表を行い、全国の研究者や当事者と交流したといいます。日付も会場も、学会の第13回大会のそれと重なります。つまりこの日、当事者のサークルは客席ではなく演台の側にいました。感想として書き留められているのは、緊張したこと、活動の内容と今後の展望を伝えられたと思えたこと、そして吃音の研究を学べただけでなく、他の地域のうぃーすたの人や吃音のある人たちとも交流できたことです。学会が目的の一文に「セルフヘルプグループ活動などに関わる者同士の相互交流」を掲げているのは、こういう場面を指しています。
出典: 【🌻第13回日本吃音・流暢性障害学会発表報告】(note・うぃーすた関西)(台帳: V0365)
学会が自分で書いている定義を、そのまま読んでみます。日本吃音・流暢性障害学会とは、吃音および流暢性障害(クラタリングなど)の研究の発展と、これらの障害の研究や医療・福祉・セルフヘルプグループ活動などに関わる者どうしの相互交流を図ることを目的とした学会です。流暢性障害というのは、話すときのなめらかさに関わる状態をまとめた呼び方で、クラタリングはその一つとして学会が吃音と並べて挙げているものです。注目したいのは、この一文に「セルフヘルプグループ活動」が入っていることです。研究者・医療職・福祉職と並んで、当事者の活動が最初から射程に置かれています。
目的として掲げられているのは、吃音およびその他の流暢性障害に関する研究を通じて臨床の進歩・発展を図り、吃音・流暢性障害のある人々のQOL(生活の質)の向上を目指すこと。事業として並ぶのは、学術集会の開催、原因・要因・アセスメント(評価)・臨床についての研究と調査および知識の普及、国内外の関連団体相互の連携の促進、機関誌の発行の4つです。「知識の普及」と「関連団体の連携」が事業に書かれている団体だ、と押さえておくと、このあとの話が読みやすくなります。
関わり方の入口も公開されています。会員は一般会員・学生会員・ジュニア会員・賛助会員の4種別で、年会費はそれぞれ5,000円・2,000円・1,000円・(1口)5,000円です。ジュニア会員という区分が用意されていること自体が、専門職以外にも席があることの表れです。事務局は金沢大学人間社会研究域学校教育系 特別支援教育専修に置かれています。なお、ここに挙げた金額や区分は資料を取得した時点のものなので、実際に申し込むときは公式サイトの最新の案内で確かめてください。
学会と、言友会のような当事者の団体は別のもの
吃音について調べていくと、「学会」「協会」「研究会」「言友会」「自助グループ」といった名前が次々に出てきます。どれも似た見た目をしていますが、性格はかなり違います。社会人になってから調べ始めた当事者が、そのうちの一つに行き当たった経過を書いています。
当事者本人(名義「hiro」・二児の父・社会人男性/個人ブログ note)
ネットで吃音について調べるようになりました。いろいろな情報を得るうちに、「言友会(げんゆうかい)」というものがあることを知りました。言友会とは、吃音症の人を対象にしたセルフヘルプグループ(同じ病気や障害などを抱える人同士の集まり)です。吃音症のセルフヘルプグループは日本中にたくさんありますが、言友会は全国的に組織され、最も規模が大きく歴史も長いグループと言えます。
就職活動で苦労した経験があり、会社で電話対応をしなければならない日が来ると分かっていた——そんな時期に、この人は「吃音」を意識しながら調べ始めました。そこで名前を知ったのが言友会で、毎週金曜の夜に東京で定例会が開かれていることまでたどり着き、仕事を終えてから会場へ向かっています。書き手が自分で補っているとおり、これはセルフヘルプグループ、つまり当事者どうしの集まりであって、研究者の集まりではありません。同じ「吃音の団体」でも、行った先で起きることはまったく別です。
出典: 僕の吃音歴(吃音に関わる活動編① セルフヘルプグループとの出会い)(note・hiro)(台帳: V0011)
学会自身が、当事者団体のほうも解説ページで紹介しています。団体によって目的や規模は異なるものの、吃音のある当事者が「吃音があるのは自分だけではない」ということを認識し、共通の体験を語り合い、苦悩を分かち合い、互いに援助し合うことが、おおむね活動の中心だとされています。そのなかで1965年に発足した言友会は日本で最も歴史が古く、定例会や全国大会を開催するなど活発に活動している団体です。近年では若者を対象とした団体(うぃーすたプロジェクト)や、女性の集いを開催する団体(全言連 吃音のある女性の取り組みチーム)など、特色のある団体も設立されています。冒頭で学会発表をしていた「うぃーすた関西」は、この若者向けの流れにある団体です。
では、当事者の集まりに行けば専門的な助言が得られるのか。ここははっきり書かれています。セルフヘルプグループは当事者の集まりなので、言語聴覚士のように吃音についての学術的な知識や、吃音を改善するための専門的な指導や支援が受けられるわけではありません。そのうえで、自分と同じ問題を持つ仲間と出会い、当事者同士でないと感じることのできない連帯感のなかで悩みを聞いてもらったり、同じ悩みを持つ者どうしという立場で具体的なアドバイスをもらったりできる、これはセルフヘルプグループでないと得られないものだ、とも書かれています。
整理すると、こうなります。学会は研究と臨床の進歩を目的とした学術団体で、事業は学術集会・知識の普及・団体連携・機関誌の発行。言友会などの当事者団体は、体験を分かち合うことを中心にした当事者の集まり。個別の評価や指導を担うのは言語聴覚士で、こちらは国家資格です。三つは役割が違うので、どれかがどれかの代わりにはなりません。当事者の集まりが実際にどんな場なのかは吃音カフェと当事者会の記事に、言語聴覚士の探し方は言語聴覚士の記事にまとめています。
「大会」と名の付くものが二種類ある——どちらに何人集まるのか
ここでもう一つ、名前の紛らわしさがあります。吃音の世界には「大会」と呼ばれるものが二種類あり、片方は学会の学術集会、もう片方は当事者団体の全国大会です。まず、当事者団体の全国大会に出た人の報告から見てみます。
20代女性・埼玉(第50回言友会全国大会「吃音ワークショップ2016in埼玉」の分科会の報告/埼玉言友会の報告&感想集)
女子会分科会は、17名の参加者があり、始めに一人一人じっくり自己紹介をしました。さまざまな経験があってこの分科会の参加に繋がっているということがわかりました。
その後は色々な話題で話し合いました。短い時間でしたが経験談やそれに対しての思いを共有できたと思います。
この報告が載っているのは、埼玉言友会と全言連が共催した3日間の全国大会の感想集です。同じページの総合報告によれば、大会には全国から約200名が参加しました。大きな会場に200人が集まっていても、参加者が実際に過ごすのは、この人が書いているような十数人の分科会です。一人ずつじっくり自己紹介をして、さまざまな経験を持って来た人がここに集まったのだと分かり、それから話し合う——「大会」という言葉の重さとは裏腹に、起きていることは体験の分かち合いです。それは当事者団体の活動の中心として説明されているものと、そのまま重なります。
出典: 吃音ワークショップ・報告&感想集(埼玉言友会)(台帳: V0368)
もう一方の「大会」、つまり学会の学術集会は、開催の記録が第1回からまとめて公開されています。第1回は2013年9月21日・22日、金沢大学人間社会第2講義棟(角間キャンパス)。以後ほぼ毎年開かれ、第12回は2024年9月7日(土)・8日(日)に川崎医療福祉大学、第13回は2025年8月23日・24日に九州大学医学部百年講堂で開かれました。年号つきで「吃音学会 2024」と探している方が求めているのは、たいていこの第12回大会の日付と会場です。
この一覧には、日本の吃音研究が通ってきた道もそのまま残っています。2018年の第6回は吃音・クラタリング世界合同会議として7月13日から16日まで広島国際会議場で開かれ、プログラム・抄録集には英語版と日本語版の両方が用意されました。2020年の第8回から2022年の第10回まではオンライン開催で、会場の欄には「オンライン」と記録されています。2016年の第4回は国立障害者リハビリテーションセンター学院が会場でした。
つまり、同じ「大会」という言葉でも、当事者団体の全国大会は体験を分かち合う場、学会の大会は研究を発表し議論する学術集会です。そして冒頭で見たとおり、学術集会のほうにも当事者団体が発表者として登場することがあります。二つは別のものですが、まったく交わらないわけでもありません。
どもったまま、話す側に立つということ
当事者が発表する側に回るとき、避けて通れない問題があります。壇上でどもったらどうなるのか、という問題です。世界大会で基調講演を引き受けた作家が、その一部始終を書き残しています。
キャサリン・プレストン(アメリカ・ニューヨーク在住の作家、吃音当事者。2013年オランダの世界大会の基調講演者/日本吃音臨床研究会のサイトに翻訳掲載)
大会、最終日の最後の基調講演が私だ。ついに演台に立つときがきた。一呼吸おいて、めがねをかけると、これまでに出会ったことのないほどのたくさんの優しい人々の目が私をみつめている。私はこの上ない誇らしさを味わった。
それまでに何度も原稿を書き直し、何時間もかけてスピーチの練習をしていた。聴衆はほとんどが、私と同じどもる人たちだ。安心と不安の不思議な思いをもちながら、思い切って話を始めた。
大げさでもなく、ほぼすべての単語に詰まるほどひどくどもった。その日の私の吃音の波の周期は最低にあったようだ。
登壇の前、この人は他の講演者のスピーチを聞きながら膝が震え始めたと書いています。7つあった基調講演のうち6人が吃音の経験者で、それでも自分よりは流暢に話していた。どもることが当たり前の場なのに、他の講演者のように流暢でありたいと願う自分がいた、と。そして迎えた最終日、実際にはほぼすべての単語に詰まった。一つの音節を押し出すのに何秒もかかり、原稿をめくる指は鉄のように固かった。それでも終わったときに鳴り響いたのは拍手喝采でした。なお、調子の良い状態と悪い状態が数週間から数か月にわたって続くことがあり、この症状の変動を「波」と呼ぶ、という説明は学会の解説ページにもあります。
出典: 2013 オランダ どもる人の世界大会報告 2(日本吃音臨床研究会)(台帳: V0369)
人前で吃音があることを明かす、いわゆる自己開示については、研究のほうにも蓄積があります。自己開示の利点は30年にわたって調べられてきました。その量的研究18件をまとめた系統的レビュー(決めた手順で研究を集めて評価し直す論文)は、そのうち15件(83.3%)で自己開示は全体として好意的な影響を持っていたと報告しています。伝え方を条件として比べた研究では、謝る形の開示や開示しない場合よりも、謝らない形の開示のほうが好意的に受け止められていました(13件中12件・92.3%)。レビューの結論は、謝らない自己開示が、「どうせこう見られるだろう」という決めつけを向けられるかもしれないという負担(研究ではステレオタイプ脅威と呼ばれます)をやわらげる、というものです。ただし同じレビューは、開示する場面・年齢・吃音の頻度や重さ・聞き手が吃音のある人と知り合いかどうかについては、そもそも調べた研究が少ないとも断っています。
日本で調べた研究もあります。日本の吃音の自助グループと著者らの伝手を通じて成人を募り、オンライン調査に答えた180人を解析した研究です。結果として、日本の当事者が自分から吃音を打ち明ける度合いは、米国の調査より低い傾向にありました。そして、より高い開示と結びついていたのは、自分で男性と答えたこと、自助グループの経験があること、自己受容が高いこと、自己スティグマ(自分で自分に向ける否定的な見方)が低いことでした。研究者らは、日本の当事者の開示の低さは社会文化的な違いを反映しているのかもしれない、と述べています。なお、参加者は自助グループを通じて集められているので、この180人が日本の吃音のある成人全体を代表しているわけではありません。
大会に行かなくても、届くもの
遠方に住んでいる、平日に休めない、そもそも大勢の場が苦手——行けない理由はいくらでもあります。それでも、学会が出しているもののうち、かなりの部分は手元で読めます。
まず、大会のプログラムと抄録集です。過去の大会のページには、第1回から各回の項目に、プログラム・抄録集をPDFでダウンロードできるリンクが付いています。抄録集というのは、その大会で行われた発表の要旨を集めた冊子のことです。日本語で書かれた吃音研究の要旨がまとまって読める場所は、ほとんどここだけだと言っていい規模があります。論文そのものをどう探して読むかは、論文の探し方の記事に分けてまとめました。
次に、学会自身が出している一般向けの解説です。広報委員会がまとめたページには、吃音の中核となる症状に加えて、話すときに体に出る動き、隠すための工夫、そして調子の波までが一続きで説明されています。同じページには、精神障害者保健福祉手帳や身体障害者手帳の交付要件、2016年に施行された障害者差別解消法によって学校や職場での差別的な扱いが禁止されていること、そして発表や電話応対の免除、試験等での面接時間の延長といった合理的配慮を求められることも整理されています。ただし、その際に医師の診断書や言語聴覚士の報告書の提出を求められる場合がある、という注意も添えられています。
当事者団体の側も、読み物を出しています。全国言友会連絡協議会は体験談集を発行しており、発行者自身の説明によれば、そこではさまざまな年代や立場の吃音のある人の体験に触れることができ、単なる事実の羅列ではなく、その体験についての認知・行動・感情が丁寧に触れられています。あわせて、ことばの教室など学校の先生や言語聴覚士といった支援者を主な対象とした指導教材や、吃音についての啓発資料も制作されています。10月の啓発の取り組みについては、国際吃音啓発の日の記事で扱っています。
個別の困りごとは、どこへ持っていくか
学会も当事者団体も、目の前のあなた一人の評価や指導を引き受ける場所ではありません。困っていることが具体的なとき、行き先は別にあります。
個別の指導・支援の中核を担うと期待されているのは言語聴覚士で、言語障害や聴覚障害のある方への指導や支援を行う専門職として、理学療法士・作業療法士とともに国家資格になっています。養成課程には吃音が含まれています。ただし、言語聴覚士の取り扱う業務は多岐にわたるため、必ずしもすべての言語聴覚士が吃音の指導や支援を行えるわけではありません。主に病院のリハビリテーション科や耳鼻咽喉科などに勤務していることが多いため、事前に病院や協会、各都道府県の言語聴覚士会に問い合わせて確かめるのが確実です。相談先の種類や、行く前に用意しておくとよいものは相談先の記事にまとめています。
学校や職場での困りごとなら、制度の側にも根拠があります。障害者差別解消法により学校や職場での吃音に対する差別的言動および差別的取り扱いは禁止されており、発表や電話応対の免除、試験等での面接時間の延長などの合理的配慮を求めることができます。
次のようなときは、名前の似た団体を探し回るより先に、相談を考えてみてください(あくまで目安で、当てはまらなくても相談して構いません)。
- 話す場面を避けることが増えて、生活や仕事の選択肢が狭まってきた
- 学校や職場で配慮を頼みたいが、何をどう頼めばいいか分からない
- 子どもの吃音が続いていて、就学や進級の時期が近づいている
この3つは相談を考えるきっかけとして挙げたもので、特定の資料が「受診の目安」として定めているものではありません。なお、すべての言語聴覚士が吃音の指導・支援を行えるわけではないので事前に問い合わせるという手順は、実際に公的な解説が示しているものです。
「吃音学会」を調べるときに陥りがちな3つの落とし穴
落とし穴1 − 学会と当事者団体を同じものとして扱う
学会は研究を通じて臨床の進歩・発展を図ることを目的とした学術団体で、事業は学術集会の開催・知識の普及・関連団体の連携・機関誌の発行です。一方、言友会をはじめとする当事者団体の活動の中心は、体験を語り合い、分かち合うことです。自助グループでは学術的な知識や専門的な指導が受けられるわけではない、と公的な解説もはっきり書いています。「吃音の団体に行けば何とかなる」とひとまとめにすると、期待と場が食い違います。何を求めて行くのかを先に決めてから、行き先を選んでください。
落とし穴2 − 去年の案内を、今年の案内として読む
大会の日程と会場は年ごとに変わります。2024年の第12回は9月7日・8日に川崎医療福祉大学、2025年の第13回は8月23日・24日に九州大学医学部百年講堂、2020年から2022年まではオンラインでした。月も会場も形式も動いているので、過去の回の案内は「その年の記録」として読むのが正しい読み方です。この記事に書いた会費や事務局の所在も、資料を取得した時点のものです。参加を考えているなら、必ず公式サイトで最新の案内を確かめてください。
落とし穴3 − 「専門家の場だから自分には関係ない」と閉じてしまう
学会は目的の一文に「セルフヘルプグループ活動などに関わる者同士の相互交流」を掲げ、会員種別にも学生会員・ジュニア会員・賛助会員を置いています。実際に、この記事の冒頭で引いたように、当事者のサークルが大会で活動発表を行い、その報告を自分たちで公開している例もあります。行かない選択をするとしても、第1回からの抄録集はPDFで公開されていますし、学会自身が一般向けの解説も出しています。まずは日々の話しにくさ——どんな場面で出やすいか、どのくらい続いているか——を書き留めておくところから小さく始め、困りごとが具体的なら言語聴覚士やことばの教室に相談するのが確実です。
よくある質問
「吃音学会」とは、正式には何という団体ですか?
日本吃音・流暢性障害学会です。吃音および流暢性障害(クラタリングなど)の研究の発展と、研究・医療・福祉・セルフヘルプグループ活動などに関わる者どうしの相互交流を図ることを目的に掲げています。事務局は金沢大学人間社会研究域学校教育系 特別支援教育専修に置かれています。
2024年の大会はいつ、どこで開かれましたか?
第12回大会が2024年9月7日(土)・8日(日)に、川崎医療福祉大学で開かれました。翌年の第13回大会は2025年8月23日・24日、九州大学医学部百年講堂です。第1回は2013年9月に金沢大学で開かれており、以後ほぼ毎年1回のペースで続いています。
吃音のある本人や家族も、学会に関わることはできますか?
学会は目的に「セルフヘルプグループ活動などに関わる者同士の相互交流」を掲げており、会員種別には一般会員のほか学生会員・ジュニア会員・賛助会員があります。実際に、当事者のサークルが大会で活動発表を行い、その報告を自分たちで公開している例もあります(この記事の冒頭で引いています)。ただし参加の条件や手続きは年によって変わるため、公式サイトの最新の案内で確かめてください。
学会と言友会は、何が違うのですか?
学会は研究を通じて臨床の進歩・発展と当事者のQOLの向上を目指す学術団体で、事業は学術集会の開催・知識の普及・団体連携・機関誌の発行です。言友会は1965年に発足した日本で最も歴史の古い自助団体で、定例会や全国大会を開催しており、活動の中心は体験を語り合い分かち合うことです。自助グループでは学術的な知識や専門的な指導が受けられるわけではない、とも明記されています。
大会に行けなくても、発表の内容を読む方法はありますか?
あります。過去の大会のページには、第1回から各回のプログラム・抄録集をPDFでダウンロードできるリンクが付いています。2018年の第6回は吃音・クラタリング世界合同会議として開かれ、抄録集には英語版と日本語版の両方があります。学会自身が一般向けの解説ページも公開しています。
まとめ
- 「吃音学会」とは日本吃音・流暢性障害学会のこと。目的の一文に「セルフヘルプグループ活動などに関わる者同士の相互交流」が入っており、事業は学術集会・知識の普及・団体連携・機関誌の発行の4つ。
- 大会は2013年の第1回(金沢大学)から毎年1回。2024年の第12回は9月7日・8日に川崎医療福祉大学、2025年の第13回は8月23日・24日に九州大学医学部百年講堂。
- 学会と当事者団体は別のもの。1965年発足の言友会は日本で最も歴史の古い自助団体で、活動の中心は体験の分かち合い。自助グループで専門的な指導が受けられるわけではない。
- 当事者が発表する側に立つ場面は実際にある。自己開示の研究では、18件中15件(83.3%)で全体として好意的な影響が報告され、謝らない形の開示のほうが好意的に受け止められていた。日本の成人180人の調査では、自助グループの経験がより高い開示と結びついていた。
- 行かなくても届くものがある。第1回からのプログラム・抄録集はPDFで公開されており、学会の一般向け解説には症状・手帳・合理的配慮まで整理されている。個別の困りごとは言語聴覚士へ。ただし全員が吃音を扱うわけではないので事前の問い合わせを。