まず結論から
- 大阪吃音教室は、NPO法人 大阪スタタリングプロジェクトが毎週金曜の夜に大阪市中央区で開いている当事者の集まりで、事前の申し込みや連絡は必要ないと案内されています。
- 掲げられている方針は「吃音を治すことよりも、吃音と上手につき合うこと」で、治療や訓練を受ける場としては案内されていません。
- 当事者だけの集まりでは、言語聴覚士のような学術的な知識や専門的な指導は受けられない——そのことを、公的な吃音の情報サイト自身がはっきり書いています。
- 自助グループへの参加は、ドイツの診療ガイドラインが専門家の合意にもとづいて勧めています。効果を測った研究にもとづく推奨ではありません。
- 病院・外来・ことばの教室を探しているなら、行き先は別になります。大阪府内の窓口は、公的機関が公開している一覧からたどれます。
ただし、開催の曜日・会場・参加費といった実務の情報はいちばん先に古くなります。この記事に書いたことも含め、出かける前には団体の公式の案内で最新の予定を確かめてください。
大阪で、どこに何を相談できるのか——4つの入口
「大阪で吃音を診てもらえるところ」を探すとき、困るのは窓口の名前そのものを知らないことです。公的機関は、そこを想定した案内の仕方をしています。国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センターの相談例では、①学校の「ことばの教室」(通っている学校か地域の教育委員会に相談すると、その地域の設置状況を紹介してもらえます)、②各都道府県の言語聴覚士会、③発達障害者支援センター、④当事者の自助グループ、という4つが並べて挙げられています。近くの自助グループの情報も、言語聴覚士会に問い合わせると分かるとされています。
②については、日本言語聴覚士協会が都道府県ごとの士会を一覧にしており、大阪府の欄には大阪府言語聴覚士会の名前があります。ここが入口になるのは、言語聴覚士なら誰でも吃音を扱えるわけではないからです。言語聴覚士は国家資格で、養成課程には吃音が含まれていますが、扱う業務は幅広く、必ずしもすべての言語聴覚士が吃音の指導や支援を行えるわけではないと明記されています。だからこそ、病院に行く前に、その病院や協会・都道府県士会に問い合わせておく手順が案内されています。
③の発達障害者支援センターは、大阪では担当が分かれています。一覧には大阪府のアクトおおさかのほかに、大阪市のエルムおおさか、堺市のアプリコット堺が別々に載っています。同じ大阪府に住んでいても、市によって担当の窓口が違うということです。しかも、人口規模・面積・交通アクセス・既存の地域資源の有無・自治体内の支援体制の整備状況などによってセンターごとに事業内容が異なるため、まず住んでいる地域を担当しているセンターに問い合わせてほしい、と一覧の冒頭が断っています。名前と連絡先は変わりうるので、一覧そのものを当たってください。
もし「治療」「訓練」という言葉で探しているなら、何をもって良い訓練と呼ぶのかの目安も知っておくと選びやすくなります。ドイツの診療ガイドラインは、青年と大人に効果があった治療に共通していた要素として、まずゆっくりした話し方を集中的に練習すること、グループでの練習を含むこと、練習したことを日常の場面へ持ち出す練習をすること、段階を追って自分で評価し自分で管理することを含むこと、自然に聞こえる話し方を目指すこと、効果を保つためのプログラムを含むことを挙げています。単発の教室や短期のコースを比べるときの、そのまま使える物差しです。
学校や職場での扱いについては、法律にもとづく仕組みがあります。2016年に施行された障害者差別解消法により、学校や職場での吃音に対する差別的な言動や扱いは禁止されており、発表や電話応対の免除、試験などでの面接時間の延長といった合理的配慮(その人が不利にならないよう、周囲がやり方を調整すること)を求めることができます。ただし、その際に医師の診断書や言語聴覚士の報告書の提出を求められる場合があるとされています。
「教室」という名前から思い描く場所とは、少し違う
大阪吃音教室という名前は、どうしても「訓練を受けて上達する場所」を思わせます。ところが案内ページの一行目に近いところに、はっきりと別のことが書いてあります。吃音教室では、吃音を治すことよりも、吃音と上手につき合うことを目指す——そういう立場です。
当事者の声(教員の女性・実名で書かれた受賞作/日本吃音臨床研究会の会報に掲載)
大阪吃音教室で伊藤伸二さんに「吃音は治らない」と聞いて、「自分の努力示足りなかったわけではなかったんだ」とほっとした。それに、今まで吃音をマイナスにしか考えられなかったけれど、どもりながらも笑顔で話をしているたくさんの人を見て、「どもることを隠さなくていいんだ」「どもりながらでも楽しく生きていけるんだ」と気持ちが楽になった。そして、自分は一人ではない、たくさんのすばらしい仲間がいる、ここが私の居場所だと思った。
結婚と出産を経た教員の女性が、自分の歩みを振り返った文章の終盤です。同じ文章の前半には、話し方の教室に通って発声練習や電話の練習を重ねた時期のこと、そこで「頑張って練習しよう」と言われ続け、これ以上どう頑張ればいいのか分からなくなったことが書かれています。だから「治らない」という一言は、期待を折るものではなく、努力の足りなさを疑う必要がもう無いという知らせとして受け取られました。団体が掲げている方針は、まさにこの受け取り方を前提に組まれています。
出典: 2015年度 第18回ことば文学賞(日本吃音臨床研究会)(台帳: V0163)
この方針は、その場の思いつきではありません。団体が扱っている書籍の紹介文では、吃音に悩む人の問題が解決されないのは、吃音を話し方のなめらかさの問題としてだけ捉えてきた古い見方に原因があるのではないか、という問題提起から出発し、「治す」から「どもる事実を認める」へ、さらに吃音とつき合いながらどう生きていくかという「生き方」の問題として捉え直す必要が説かれています。
同時に、団体自身が置かれている状況も書き残されています。入会案内の冒頭には、「吃音は努力すれば必ず治る」「どもりぐらいのことで」という社会通念が昔も今も根強くあり、悩みを解決したいと思っても吃音に関する適切な情報が少なく、悩みに十分応えてくれる相談機関に出会うことも極めて難しい、という現状認識が置かれています。この会が1966年11月に発足してから続いている、という事実の背景にあるのはそこです。
例会では、実際に何をしているのか
「治さない」と言われると、では毎週何をしているのかが分からなくなります。年間のスケジュールが公開されているので、中身は先に確かめられます。
当事者の声(大阪吃音教室会員の女性/例会の質疑をまとめた会報の記録。問いかけの相手は同会代表)
藤岡 事前練習の効果について聞きたいです。私は、次の日、国語の時間に本読みで当てられることがわかっている時、家でこっそり一人で本を開いて音読していました。一人だからみんなの前よりはスラスラと読めるんですが、その頃はそれをしていても不安は小さくはならなかった。むしろ、練習をすることで逆に不安を高めてしまっていたような。といって、何も練習しないで丸腰で挑むのは怖いからしていたのですが。しない方がいいのでしょうか、した方がいいのでしょうか。
会報に残された、例会での一問一答です。小学生のころ、翌日の国語の時間に当たることが分かっている夜、家で一人きりで本を開いていた——その場面から始まって、練習が不安を減らすどころか高めていたのではないか、という問いが立てられています。答える側も「効果がある」とは言い切らず、短い文を繰り返し読むと読むたびに詰まりが減っていく現象があるが、それは続けて読んだ直後のことで、翌日の本番には効かない、と答えています。個人の工夫を持ち寄って、その場で検討する——例会の時間の使われ方が、この短い記録から見えます。
出典: 大阪吃音教室 吃音Q&A 3(日本吃音臨床研究会)(台帳: V0471)
案内では、活動が三つの柱に整理されています。①吃音の原因やこれまでの吃音治療の効果と限界など、吃音そのものについて学ぶ基礎講座、②吃音そのものは治らなくても人と楽しく話すことはできるという立場から、話す・読む・聞く・書くを総合的に練習する講座、③交流分析・論理療法・アサーティブトレーニングといった考え方を応用して、よりよい人間関係をつくる講座——この3つです。③に並ぶのは、いずれも自分と相手のやりとりを見直すための心理学の手法で、吃音のためだけに作られたものではありません。
年間のスケジュールを見ると、それが回ごとの講座名として具体的に並んでいます。「吃音と上手につき合うために」「自分の吃音のテーマを見つける」から始まり、交流分析、論理療法、認知行動療法、森田療法、アドラー心理学、アサーションを学ぶ回が前期・後期を通して置かれ、「吃音恐怖と予期不安への対処」——話す前から「また詰まるかもしれない」と先に不安になってしまう状態のことです——「吃音の当事者研究」「仏教に学ぶ吃音とのつき合い方」といった回もあります。生活の場面をそのまま題にした回も多く、「職場・学校での吃音を考える」「電話と上手につき合うコツ」「就職活動と吃音」「自分の吃音を表現する」などが並びます。
実際の演習の記録も公開されています。ある回では、電話のときに普段より少し低めの声にすると出る、という参加者の工夫から始まって、声の高低・大小・かたさ・速さ・間といった要素を場面に応じて使い分ける練習が行われました。同じ記録の中で、ものまねや裏声といった工夫については、これまで吃音治療として工夫された方法は治療・改善には役に立たないが、どうしても言わなくてはいけないときの緊急避難としては使える、とはっきり位置づけられています。参加者から「そんな裏声なんて使うぐらいなら、どもる方がよほどいい」という反論が出たことも、そのまま記録に残っています。
行ってみたい。でも、こわい/合わなかったらどうしよう
案内には「事前の申し込みや連絡は必要ありません」と書かれています。手続きの上でのハードルはほとんど無いということですが、実際に足が止まる理由は、手続きとは別のところにあります。
当事者の声(当時31歳の男性/大阪吃音教室で行われた「当事者研究」の逐語記録。聞き手は同会代表)
伊藤 初めて吃音教室に来たときの感想は?
堤野 正直言って、ものすごく気分が悪くなりました。そのとき初めて、自分以外のどもる人を見たのですが、その姿を見るのには耐えがたいものがありました。どもっている人の姿が、醜く、無様に見え、自分も周りからはそう見えるのだと思いました。それに、どもりは辛いに決まっているのに、みんなの、「どもっても大丈夫」「どもっても前向きに生きていける」という趣旨の発言が飛び交うのを聞いて、「欺瞞だ」「無理にそう思い込もうとしているだけだ」と思いました。ただ慰め合っているだけの場だと思いました。
高校2年で吃音が始まり、大学を休学した直後に、通っていた病院の言語聴覚士に連れられて例会に来た人の回想です。一度きりの参加で「ここにはもう二度と来ない」と決めた、とも語っています。話はそこで終わりません。数年後、この人は同じ場に戻り、その日のことを「戦友に会えたようで、嬉しかった。」と述べています。合わない日があり、そのあとに合う日が来ることもある——同じ人の中で起きたその変化までが、団体の記録に残されています。
出典: 【当事者研究】どもりを豊かさの糧にして(日本吃音臨床研究会)(台帳: V0181)
「行けば必ず気持ちが変わる」とは、研究も言っていません。南アフリカで自助グループに通う成人13人に聞き取った調査では、会に出たことで自分の吃音の見方が前向きに変わったと答えたのは13人中12人(92.3%)で、残る1人(7.7%)は変わらなかったと答えています。変わらなかった人が挙げた理由は、周囲の聞き手の反応や世間の見方でした。会の中が変わっても、会の外は変わらない、ということです。
変わったと答えた人たちの中身も、一様ではありません。会に出たことが自分の吃音を受け入れる助けになったと述べたのは8人(61.5%)、吃音とともに生きているのは自分だけではないと気づいたと述べたのは7人(53.9%)で、その気づきが孤立感を減らしたと語られています。ただし著者自身が、自助グループと自己受容のあいだに関連は見られなかったとする先行研究と結果が食い違うことを考察で明記しています。人数の少ない聞き取り調査であり、行けばこうなるという保証を読み取るための材料ではありません。
子どものことで探している保護者は、どこへ行けるのか
「子ども 吃音 大阪」という並びで探している方には、先に押さえておきたい線引きがあります。大阪吃音教室そのものへの入会は、例会に定期的に通える関西地区(大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山)に住む高校生以上に限られ、中学生以下の人には日本吃音臨床研究会が案内されています。ただし、団体の活動は例会だけではありません。
保護者の声(大阪府在住の高校教員・吃音のある娘の父/団体の会報に実名で掲載された手記)
幼い頃に言葉の繰り返しや引き延ばしが見られたが、それを吃音とは理解せず、「思いが溢れて、言葉が追いつかないのだ。何と可愛い子なんだろう」と、その話し方を愛でていた私が、娘の話し方を「吃音」と気がついたのは、彼女が小学5年の秋の頃。
「言葉が詰まって、音読が出来ない」と毎晩のように、涙を流し訴えてきた時だ。あれから5年、高校1年生の彼女は、吃音と上手く付き合っているようだ。吃音親子サマーキャンプや大阪吃音教室と出会い、「吃音とは、その課題は何なのか」を本人なりに「考える」機会を得たからだ。
父親が、娘の5年間を時系列で書き残した手記の冒頭です。話し方の繰り返しを可愛らしさとして見ていた時期があり、名前がついたのは小学5年の秋、本人が毎晩泣いて訴えてきた日でした。手記はこのあと、小学6年で初めてキャンプに参加した娘が自分以外のどもる人に初めて出会ったこと、中学の修学旅行の夜にクラス全員の前で自分の課題として話したことを、娘自身の判断だったと断りながら記していきます。親が連れていく段階から、本人が選ぶ段階へ——保護者が関わる場面は、そこで変わっていきます。
出典: 私はこう生きる―吃音と発達障害、私の考え 2(日本吃音臨床研究会)(台帳: V0490)
この会は、例会のほかに、機関紙の発行、日本吃音臨床研究会と共同での吃音ショートコース(研修会)、吃る子どもを持つ親の教室、親子キャンプなどを開いていると案内しています。子ども本人が毎週の例会に入るのではなく、こうした行事を通して関わる形です。
本人がまだ気が進まないときの進め方についても、公的な助言があります。吃音を隠したい、認めたくないという気持ちがあるなら無理に受診させることはないとされ、その場合でも保護者が先に相談へ行き、「聞いてきてほしいことがあったら教えて」と本人に尋ねるやり方が挙げられています。大事なのは、本人が困ったときに気軽に保護者へ相談できる状態と、保護者がどこに相談すればよいかを知っていることだ、とまとめられています。
毎週は通えない人へ——「相談会」というもう一つの入口
毎週金曜の夜に大阪市中央区へ、という条件は、働き方や住んでいる場所によっては現実的ではありません。年間スケジュールには、その手前に置かれた公開の行事が載っています。
保護者の声(小学3年の女の子をもつ母/団体サイト「保護者の体験」に実名で掲載された手記)
私は全くの初めて、他のどんな教室にも参加したことがなかったので、全てにおいて勉強になりました。最初の自己紹介の時、体ごとこちらを向いて聞いて下さる皆さんに、凄いパワーを感じました。圧倒されたといってもよいくらいで、同時に心から相談できるという信頼感も生まれました。
皆さんのお話の中で、電話に出られない、食べたいものを注文できないということに、本当に大変な思いをされているのだと知りました。
娘の吃音のことで相談会に出た母親が、その日に見たものを書いています。手記の前半には、担任の先生に4回にわたって「どもるんですけど…」と切り出してきたこと、その語尾に「大丈夫ですよ」と返してほしい気持ちが含まれていたと後から気づいたことが書かれています。相談会で初めて会ったのは、子どもではなく大人になった当事者たちでした。電話に出られない、食べたいものを注文できない——数年先、十数年先に娘が向き合うかもしれない場面が、そこで具体的な言葉になっています。
出典: 保護者の体験(日本吃音臨床研究会)(台帳: V0108)
年間スケジュールでは、毎週の例会とは別に、日曜の午後に開かれる行事が年に2、3回置かれています。前期には「吃音相談会」、後期には吃音について皆で語る「吃音を考える会」で、どちらも例会と同じ会場です。まず一度話を聞いてみたい人や、金曜の夜に通えない人に向けた入口として設けられていることが読み取れます。
毎週の例会のほうは、金曜の18時45分から20時45分まで、会場は大阪市中央区谷町のCANVAS谷町(大阪ボランティア協会事務所)で、大阪メトロ「谷町四丁目」1番出口から北へ徒歩4分、同「天満橋」3番出口から南へ徒歩4分と案内されています。参加費は1回300円、初回のみ別途、初参加資料代1,700円で、初参加者に付き添いで参加する人は無料とされています。金額は改定されたことがあると案内自身が注記しているので、最新の額は公式の案内で確かめてください。
こうした当事者の集まりに参加すること自体は、診療ガイドラインの中でも触れられています。ドイツの診療ガイドラインは、自助団体を通じた自助グループへの参加を臨床的なコンセンサス(専門家の合意)にもとづいて推奨する、と書いています。治療法の推奨がエビデンスの強さで格付けされているのに対し、ここは合意にもとづく推奨である、という区別が原典に示されています。
合わなかったとき、通えないときの選択肢
関西には、別の系統の当事者団体もあります。全国言友会連絡協議会の加盟団体一覧の関西ブロックには、おおさか結言友会のほか、京都言友会、すたっと京都、神戸言友会、姫路言友会、奈良言友会、滋賀言友会、和歌山言友会の名前が並んでいます。言友会は1965年に発足した国内で最も歴史の古い自助団体で、定例会や全国大会を開いています。近年は、若者を対象にした団体や、女性の集いを開く取り組みなど、特色のある団体も生まれています。
ただし、問い合わせ先には気をつけてください。全国組織のほうは、子どもの吃音への対応方法の確認や医療機関の紹介といった個別の相談には原則として応じられないと明記しており、希望する場合は近くの加盟団体に連絡してほしい、と案内しています。一覧に名前が載っていることは、その団体が今どう活動しているかを保証するものでもないので、各団体のページで確かめる必要があります。
通える場所に会が無いときの選択肢として、オンラインの集まりもあります。フェイスブック上の吃音グループの参加者に聞き取った研究では、利点と課題の両方が主題として浮かび上がり、対面の集まりと併せて使うことで支えを得る手段になりうる、と結論づけられています。会の運営への提言をまとめた研究も、対面とオンラインを組み合わせると場所の壁が減って参加しやすくなる一方、通信環境を持たない人がいることも考える必要があると述べ、話したくない人には発言しなくてよいと伝えるべきだ、としています。
最後に、母数の話をしておきます。英語圏のオンライン支援グループ・英国の全国団体・地域の自助グループから集めたデータで、吃音のある成人のうち当事者のコミュニティに関わっている割合を推定した研究では、国際的な団体で0.99%、全国団体で0.63%、地域の自助グループで1.01%という値が出ており、実際の関与はこれより低いと注記されています。当事者会に行っていない人のほうが、圧倒的に多いということです。行かないことは、珍しくも間違いでもありません。
大阪で場所を探すときに陥りがちな3つの落とし穴
落とし穴1 − 「教室」を「訓練で治してくれるところ」と読む
名前は「教室」でも、掲げられているのは「吃音を治すことよりも、吃音と上手につき合うこと」です。治すことを目的にした訓練を受けたいのであれば、行き先は当事者の集まりではなく、言語聴覚士のいる医療機関のほうになります。そして言語聴覚士であれば誰でも吃音を扱えるわけではないので、行く前の問い合わせが要ります。どちらかが優れているという話ではなく、用途が違うという話です。当事者の集まりでは学術的な知識や専門的な指導は受けられない、そのかわり当事者同士でないと得られない連帯感や具体的な助言がある、と公的な情報サイト自身が両方を書いています。
落とし穴2 − 開催日や会場を、団体以外のページで確かめたつもりになる
曜日・会場・参加費は、いちばん先に古くなる情報です。この記事に書いた曜日・時間・会場・参加費も、団体の案内ページから引いたものですが、案内自身が過去に参加費を改定したと注記しています。年度ごとの講座の予定は別ページで公開されており、休みの週も明記されています。出かける前には、必ず団体の公式の案内で当日の予定を確かめてください。
落とし穴3 − 一度行って合わなかったことを、結論にしてしまう
初めて参加した日に強い違和感を覚え、二度と来ないと決めた人が、数年後に同じ場へ戻った記録が、団体自身のサイトに残っています(台帳: V0181)。聞き取り調査でも、会に出て吃音の見方が変わらなかった人がいて、その理由は会の外の反応でした。合わない日があること自体は、想定の内側にあります。もっとも、当事者のコミュニティに関わっている人は成人のうち1%前後と推定されており、行かないという選び方も同じだけ普通のことです。記録だけは残しておくと、あとで相談する先が変わったときに役に立ちます。
よくある質問
大阪吃音教室はどこで、いつ開かれていますか?
案内では、毎週金曜日の18時45分から20時45分まで、大阪市中央区谷町のCANVAS谷町(大阪ボランティア協会事務所)で開かれているとされています。大阪メトロ「谷町四丁目」1番出口から北へ徒歩4分、同「天満橋」3番出口から南へ徒歩4分という案内も添えられています。休みの週もあるので、年度の予定表で当日の開催を確かめてから出かけてください。
予約や申し込みは必要ですか。参加費はいくらですか?
事前の申し込みや連絡は必要ないとされ、年間スケジュールを確かめて参加すればよい、と案内されています。参加費は1回300円で、初回のみ別途、初参加資料代1,700円、初参加者に付き添う人は無料とされています。ただし参加費は過去に改定されたと案内自身が注記しているため、最新の額は公式の案内でご確認ください。
子どもを連れて行けますか。保護者だけでも参加できますか?
入会の対象は、例会に定期的に通える関西地区(大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山)に住む高校生以上とされており、中学生以下の方には日本吃音臨床研究会が案内されています。一方で、この会は吃る子どもを持つ親の教室や親子キャンプも開いていると案内しています。本人がまだ気が進まないときは、保護者が先に相談へ行き、聞いてきてほしいことを本人に尋ねるやり方も公的な助言として挙げられています。
大阪で吃音を診てくれる病院は、どう探せばいいですか?
公的機関の案内では、学校の「ことばの教室」(学校か地域の教育委員会へ)、各都道府県の言語聴覚士会、発達障害者支援センター、自助グループという4つの経路が挙げられています。大阪府には大阪府言語聴覚士会があり、発達障害者支援センターは府・大阪市・堺市で別々に置かれています。言語聴覚士の全員が吃音の指導や支援を行えるわけではないため、受診の前に病院や士会へ問い合わせることが勧められています。
大阪吃音教室に行けば、吃音は治りますか?
団体の案内は、吃音治療の特効薬がない現状にあって吃音を治すことよりも上手につき合うことを目指す、と明記しており、治ることを掲げてはいません。自助グループに通う成人への聞き取りでは、会に出て吃音の見方が前向きに変わったと答えた人が13人中12人(92.3%)いた一方、変わらなかった人も1人(7.7%)いました。ドイツの診療ガイドラインも、自助グループへの参加を推奨はしていますが、その根拠は専門家の合意であって効果を測った研究ではないと示しています。
まとめ
- 大阪吃音教室は、NPO法人 大阪スタタリングプロジェクトが毎週金曜の夜に大阪市中央区で開く当事者の集まりで、事前の申し込みは要らない。掲げる方針は「治すことより、上手につき合うこと」。
- 例会の中身は年間スケジュールで公開されており、交流分析・論理療法・認知行動療法・アサーションなどの回と、職場・電話・就職活動といった生活場面の回が並ぶ。声や工夫の演習の記録も読める。
- 当事者の集まりでは学術的な知識や専門的な指導は受けられない。そのかわり当事者同士でしか得られないものがある——両方が公的な資料に書かれている。
- 病院・言語聴覚士・ことばの教室を探すなら、ことばの教室(学校・教育委員会)/大阪府言語聴覚士会/発達障害者支援センター(府・大阪市・堺市で別)という経路をたどる。
- 入会は関西地区在住の高校生以上が対象で、中学生以下は日本吃音臨床研究会へ案内される。子どもは親の教室や親子キャンプを通して関わる形。
- 合わない日があること、そして行かない人のほうが多いこと(成人の関与は1%前後と推定)も、記録と研究に残っている。