まず結論から
- NHK「きょうの健康」の「誤解しないで!この病気 「吃(きつ)音症」」は、初回放送日が2023年3月14日で、出演者として慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室の助教が挙げられています。
- 番組は、吃音症のある人が日本では100万人〜120万人と推計されること、国や言語によらず成人の100人に1人ほどいることを伝えています。近い大きさの数字は、学会の資料からも確かめられます。
- 番組が挙げた3つの症状——音を繰り返す・音が伸びる・言葉が出ずに間が空く——は、国立障害者リハビリテーションセンター研究所が連発・伸発・難発として定義しているものと同じです。
- 「ゆっくり」「落ち着いて」といった、よかれと思った声がけがプレッシャーになるという番組の指摘は、当事者団体が周囲に求めていることと一致します。
- 番組を見て相談先を探すとき、入口そのものは全国どこにでもあります。教育センター・特別支援教育センターは各都道府県や政令指定都市などに、発達障害者支援センターは各都道府県や政令指定都市に置かれています。
ただし、この記事が番組について書けるのは、公式ページに残っている記載の範囲だけです。放送そのものはすでに終わっており、番組で医師が話した内容のすべてを再現するものではありません。また、番組が示した数字は集団についての推計であって、あなたやお子さんの見通しを表すものではありません。
番組が伝えたこと——公式ページに残っている範囲で
まず、この回がどんな番組だったのかを、公式ページの記載どおりに確かめます。タイトルは「誤解しないで!この病気 「吃(きつ)音症」」で、初回放送日は2023年3月14日(火)。出演者の欄には、慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室の助教という肩書きが記されています。なお、この番組名を「今日の健康」と覚えている方もいますが、同じ番組のことです。
番組の概要として書かれているのは、次の4点です。
- 滑らかに話すことができない「きつ音症」は、日本では100万人〜120万人と推計され、人づきあいに臆病になってしまうことも多い
- 「ゆっくり」「落ち着いて」などよかれと思ってする声がけが、プレッシャーを与えてしまっていることもある
- 当事者の心が軽くなる接し方を紹介する
- 吃音のことを知ってもらおうと当事者が店員を務める「注文に時間のかかるカフェ」の様子も紹介する
番組記事の欄には、もう少し踏み込んだ説明が残っています。吃音症は医学的には「言語の流暢(りゅうちょう)性の障害」と呼ばれ、声自体は出るが、なめらかに言葉にすることができない症状のことだとされます。そして主に3つの種類があるとして、言葉の頭の音を繰り返してしまう「こ、こ、ここんにちは」、音が伸びてしまう「こーーーんにちは」、うまく言葉が出ずに間が空いてしまう「・・・こんにちは」が挙げられ、国や言語によらず成人の100人に1人ほどいると書かれています。
この3つは、番組だけの分け方ではありません。国立障害者リハビリテーションセンター研究所の解説も、音のくりかえし(連発)「か、か、からす」、引き伸ばし(伸発)「かーーらす」、ことばを出せずに間があいてしまう(難発、ブロック)「・・・・からす」の3つのどれか1つ以上が見られることを特徴とし、こうした話し方を吃音と定義しています。番組の「繰り返し・引き伸ばし・ブロック」と、研究所の「連発・伸発・難発」は、同じものを指す言い方の違いです。
日本吃音・流暢性障害学会の解説は、この3つに加えて、話そうとするときに体に力が入る動きや、言いにくい言葉を避けるための工夫があること、そして調子の良い状態・悪い状態が数週間から数か月にわたって続くことがあり、この変動を(調子の)「波」と呼ぶことを説明しています。短い番組では触れきれない部分ですが、あとで出てくる「相談の場でだけ症状が出ない」という話につながるので、ここで押さえておきます。
番組が紹介した「注文に時間のかかるカフェ」は、吃音のある人が店員を務める取り組みです。カフェ自身の公式ページは、言葉が出にくい吃音があること、言葉はスラスラでないけれど、みんな接客業の夢を持っていることを、自分たちの言葉で説明しています。テレビという媒体で吃音がどう描かれ、見た人に何が起きるのかという話は、「吃音とテレビ」にまとめています。
「100万〜120万人」は、どこから来た数字か
番組の公式ページは、100万人〜120万人という推計を示していますが、その数がどの調査から来たのかは書いていません。番組を見たあとでこの数字を人に説明しようとすると、ここで止まります。そこで、同じ大きさの数字を示している資料を台帳から辿ってみます。
「注文に時間がかかるカフェ」の公式ページは、全国で約120万人が吃音があると言われているとし、参考として国立障害者リハビリテーションセンター研究所を挙げています。同研究所の解説は、吃音の9割は発達性吃音(幼児期に自然に始まるもの)で、発症率——一生のうちに吃音になる確率——は5%程度、その割合に国や言語による差はないと言われている、としています。日本吃音・流暢性障害学会は、近年の幼児期の調査から発症率は約8〜11%程度と報告されているとしたうえで、海外の調査からは、学童期以降成人までの時点有症率——ある特定の時点で吃音のある人が全人口に占める割合——は、1%より少ない0.8%が妥当だといわれている、と書いています。番組の「成人の100人に1人ほど」は、この0.8%と同じくらいの大きさの話です。
⚠ ここで数字を読み違えないために、一つだけ区別しておきます。「一生のうちに吃音になる人の割合」と「いま吃音がある人の割合」は別の数字です。前者は5%とも8〜11%とも報告され、後者は成人で0.8%程度とされます。同じ「吃音の人の割合」という言い方で、10倍近く違う数字が並ぶのは、測っているものが違うからです。
では日本で実際に数えるとどうなるのか。5つの県の15か所の3歳児健診を使って、1,988人の子どもについて調べた研究があります。この研究では、健診の時点で吃音がある子は6.5%、3歳までに一度でも吃音があった子は8.9%でした。どちらの値にも、この人数から見積もったときのぶれの幅が併記されていて、前者は5.4〜7.7%、後者は7.7〜10.2%です(統計の用語では95%信頼区間と呼ばれます)。学会の解説も、わが国の研究では3歳までの発症率が8.9%であることが報告されており、海外における近年の報告とかなり近い値だと書いています。
この2つの数字の差が、何を意味するのかが大事なところです。吃音があると確認された177人のうち、健診の時点でも吃音があったのは129人(72.9%)で、残りの48人(27.1%)は過去にはあったが今は無い子でした。原典は、3歳の健診までに8.9%の子で吃音が始まっていたのに、その時点で実際に吃音があったのは6.5%だったことから、始まった子の全員がすぐに治療を必要とするわけではないと述べ、そのうえで、自分で回復していく子と、長引きやすく早めの介入が要る子とを早く見分ける手立てを探す必要があると結んでいます。
もう一つ、番組では触れられない知見があります。「吃音は男の子に多い」とよく言われ、学齢期の子どもでは男女比がおよそ3対1であることが知られていますが、この日本の研究で3歳児について見ると1.33対1とさらに小さく、性別は吃音が始まることと結びついていませんでした。始まった直後に近い時期に測るほど男女差は小さいことが先行研究でも指摘されており、原典自身はこの低い比の理由は分からないとしています。いつ測るかによって、見える姿が変わるということです。
「多くは自然に治る」と知ったあとに、残る人がいる
吃音を扱う番組や記事は、たいてい「多くは自然に治る」という趣旨の説明を含みます。数字としてはそのとおりです。ただ、その説明を見たときにいちばん行き場を失うのは、治らなかった側にいる人です。
3歳で吃音が始まった当事者の記録(19歳・教育学部の学生/吃音の啓発活動を行う本人のnote)
私は3歳で吃音を発症しました。
発症時はほとんどが連発型らしいのですが、私の初めての吃りは難発型でした。重度な吃音の場合に現れる珍しいケースのようで、受診した福祉センターの職員さんに非常に驚かれたそうです。
その職員さんの勧めで、5歳〜6歳の間言語聴覚士の先生のもとで発話訓練を受けました。
吃音の啓発をSNSで1年半続けてきた学生が、投稿の頻度が落ちた理由を書くために、自分の経過を最初から書き直した一節です。番組で紹介されるような入口——福祉センターへの受診、言語聴覚士による発話訓練——を、この人は幼児期に一通り通っています。本人の記述によれば、5歳から6歳の訓練で改善は見られず、5歳から15歳までの10年間通った通級指導教室(在籍する学級とは別にことばの指導を受けに通う教室、いわゆる「言葉の教室」)も心理的なケアが中心で、吃音の改善に大きな効果はありませんでした。番組の短い説明の外側には、この経路がそのまま残ります。では、研究や公的な資料は「治る/治らない」をどう書いているのでしょうか。
出典: 自分の吃音に思うこと(note)(台帳: V0292)
国立障害者リハビリテーションセンター研究所の解説は、発達性吃音の多くが軽い繰り返しから始まり、うまく話せる時期もあるのが特徴だとしたうえで、7〜8割くらいが自然に治ると言われており、残りの2〜3割は徐々に症状が固定化して、楽に話せる時期が減ってくると書いています。つまり「多くは治る」と「治らない人がいる」は、同じ資料の中に並んで書かれていることです。
時期についても数字があります。日本吃音・流暢性障害学会は、自然に治る割合について、吃音が始まって2年後までだと31%、3年後までだと63%、4年後までだと74%と報告されているとし、吃音が始まってから4年以上経つと(あるいは8歳以上になると)、自然に治る確率は減少するとしています。男女で分けた数字もあり、発達障害ナビポータルの解説は、吃音を発症後、男児では3年で6割、女児では3年で8割が自然回復するとしています。
同じ解説は、支援する側の受け答えについても率直に書いています。「なおるのか?」が養育者の最大の関心事だとしたうえで、相談時に「将来、吃音はなおりますか?」と尋ねられても、「男児で家族歴がある場合は、なおりづらい」としか返答できない状況だとし、だからこそ「この吃音とうまく付き合っていく方法を一緒に考えていきましょう」と伝えている、というのです。番組の要約からはこぼれ落ちますが、専門家の側も、一人ひとりの見通しを言い当てられるわけではありません。
「ゆっくり」「落ち着いて」は、なぜ負担になるのか
番組がいちばん伝えたかったのは、おそらくここです。よかれと思ってかけた一言が、相手にとっては圧力になっている。なぜそうなるのかは、当事者が置かれてきた場面を知ると分かりやすくなります。
重度の難発(言葉が出ずに間が空く症状)のある女性(取材時29歳・新聞社の取材記事の地の文と本人の発言)
現在29歳の奥村安莉沙さんは、2歳の頃に発症。意思疎通ができないほどの重度の難発吃音(なかなか言葉が出てこない)を抱え、子供の頃は喋り方を真似してからかわれたり、学校では理解のない教師から音読ができないことを「集中していない」と叱られたりしたこともあったという。
吃音は成長に伴って自然に治るケースも多いとされるが、奥村さんは逆に症状が悪化。「就職活動の面接では、自分の名前を言うので精一杯という状態でした」と振り返る。
地方紙の連載で、吃音の啓発活動を行う女性を取材した記事です。音読ができないことを「集中していない」と受け取られる——本人の内側で何が起きているかを知らない人が、目に見える結果だけを見て解釈する。その構図は、大人になっても変わりませんでした。記事には、この女性がクラウドファンディングで当事者どうしが互いを認識するためのラバーバンドを作り、SNSで当事者の声を集めて発信していることも書かれています。そこに寄せられた声のなかに、「話しているときに『緊張しないで』『落ち着いて』と言われるのがつらい」という一言があります。番組が指摘した声がけの問題は、当事者の側から見ると、こういう形で現れます。
出典: 「何度も死にたいと思った」吃音の知られざる苦悩 当事者の女性が「社会の無理解を変えたい」と立ち上がる(神戸新聞NEXT)(台帳: V0127)
理由は、吃音が緊張から起きているわけではないからです。「注文に時間がかかるカフェ」の公式ページは、周囲に配慮してほしいことを4つ挙げていて、その2番目に「緊張していて吃っているわけではないので、『リラックスして』『ゆっくり話せばいいよ』とアドバイスしないでください」と書いています。ほかの3つは、遮ったり、憶測して代わりに言ったりせずに言い終わるまで待つこと、真似しないこと、他の人と同じように接することです。番組が「よかれと思ってする声がけ」と呼んだものが、当事者団体の側では「しないでほしいこと」として名指しされている——番組の指摘は、当事者の言葉と重なっています。
症状の出方そのものも、緊張の有無では説明できません。発達障害ナビポータルの解説は、伴奏に合わせて歌ったり、2人で同じ言葉を言ったりする場面——外からタイミングが与えられる場面——では吃音が消えて流暢に話せることから、吃音は発話のタイミングの障害と言われているとし、子どもが気を付けて話すときには吃音があまり出ず、家庭などで自分の話したいことが思い浮かんだままに話すときには出やすいと説明しています。同じ資料は、養育者が症状を強く疑って相談に行っても、実際にその子と話すと思ったほど症状が出ないことが多く、その様子に「気にならないですね」「軽い吃音ですね」という言葉をかけることは、養育者にとってプラスに働くことが少ないとも書いています。「気をつければ出ない」のではなく、「気をつけている場面では出にくい」というだけのことです。
そのうえで、接し方に唯一の正解があるわけでもありません。同じカフェの公式ページは、症状や対処法が人によって大きく異なるので、吃音の人はこうすれば良い、という決まった方法はありません、と明記し、十把一絡げな考えは的外れな支援につながるとしています。だからこのカフェでは、その人がどんな対応を求めているかが一目で分かるように、マスクや名札にメッセージを書いているのだそうです。番組で紹介された取り組みの中身は、「こう接しなさい」というマニュアルではなく、「あなたはどうしてほしい?」と尋ねる形を広げることでした。
番組を見たあと、全国のどこに入口があるか
番組で吃音症のことを知って、自分やお子さんのことが気になったとき、次に当たる先はどこか。窓口の名前と数は地域によって違いますが、制度としての入口は全国に置かれています。発達障害教育推進センターが「身近な相談機関」として整理しているのは、次のようなものです。
- 教育委員会 — 都道府県教育委員会と市区町村教育委員会の2種類があり、市区町村の教育委員会は地域の学校への指導助言を行うなかで、子どもたちの保健・安全・健全育成のために教育相談、就学相談も併せて行っています。
- 教育センター・特別支援教育センター — 各都道府県、政令指定都市等に設置されています。子どもと保護者、教員を対象に教育相談を行っており、多くの機関では電話による相談、来所相談を行い、学校への巡回相談に応じている機関もあります。
- 発達障害者支援センター — 各都道府県や政令指定都市に設置された公的な施設で、発達障害のある幼児から成人までとその家族が対象です。発達や就労等に関する相談を受け、関係する機関と連携しながら支援を行います。ただし支援の詳細な内容は各センターによって異なり、アセスメント(評価)をしている機関、個別の支援計画を作成している機関、医師の診断を行っている機関もあります。どのようなサービスが受けられるかは、近くのセンターに直接問い合わせるよう案内されています。
- 自助団体 — 日本吃音・流暢性障害学会は、吃音のある当事者が「吃音があるのは自分だけではない」ということを認識し、共通の体験を語り合い、苦悩を分かち合い、互いに援助し合うことが概ね活動の中心だとしています。1965年に発足した「言友会」は日本で最も歴史が古く、定例会や全国大会を開催するなど活発に活動しており、近年では若者を対象とした団体や、女性の集いを開催する団体も設立されています。
⚠ 上の窓口の説明は機関の種類と役割についてのもので、吃音を専門に扱うと書かれているわけではありません。どこに何を相談できて何は相談できないのか、医療機関や言語聴覚士をどう探すのか、予約がどのくらい待つのかといった具体的な話は、「吃音の相談先」に整理しました。子どもの外来については「小児吃音外来とは」が詳しいです。
小さいお子さんの場合、相談に行く時期の目安もあります。発達障害ナビポータルは、幼児吃音臨床ガイドライン第1版(2021)が、積極的な介入(月2回以上の指導)を行うタイミングについて、年少組までは経過観察的な支援を行うことを基本とし、年中組では積極的な介入の開始を検討し、年長組では積極的な介入の開始を推奨する、としていることを紹介しています。「様子を見る」も「介入する」も、年齢に応じて考え方が変わるということです。
大人の場合は、制度の側にも後ろ盾があります。日本吃音・流暢性障害学会は、2016年に施行された障害者差別解消法により学校や職場での吃音に対する差別的な言動や扱いが禁止されていること、発表や電話応対の免除、試験等での面接時間の延長などの配慮を求めることができることを挙げ、その際に医師の診断書や言語聴覚士の報告書の提出などが求められる場合があると書いています。発達障害ナビポータルは、電話が苦手な人が使えるものとして、2021年から総務省が主体となり公共インフラの一つとなった「電話リレーサービス」を挙げ、吃音のある人も使えて困り感の軽減につながっているとし、また吃音症は精神障害者保健福祉手帳または身体障害者手帳の対象となるため、就職面接で障害者枠の選択肢も増えているとしています。
相談を考えるきっかけとしては、次のようなときが挙げられます(あくまで目安で、当てはまらなくても相談して構いません)。
- 就学が近づいても吃音が続いている
- 体に力が入る、言葉が出ずに間があくといった出方が目立ってきた
- 本人が話しにくさを気にして、話すことや特定の場面を避け始めている
この3つは、相談を考えるきっかけとして一般的に挙げられるもので、特定の資料が「受診の目安」として定めているものではありません。相談の場では、家で見ているほど症状が出ないことが多いので、気づいたことを書き留めたものや短い動画を持っていくと、伝わり方が変わります。
番組を見たあとに陥りがちな3つの落とし穴
落とし穴1 − 番組の数字を、自分や子どもの見通しに読み替える
「100万人〜120万人」も「成人の100人に1人ほど」も、集団についての推計です。同じように、幼児期の発症率5%、約8〜11%、日本の3歳児での6.5%と8.9%も、集団を数えた値であって、一人ひとりの見通しではありません。しかも、一生のうちに吃音になる人の割合と、いま吃音がある人の割合は別の数字です。番組の数字を「うちの子は◯%の確率で」と読み替えることはできません。
落とし穴2 − 「ゆっくりでいいよ」と言い添えてしまう
番組が指摘したとおり、よかれと思った声がけがプレッシャーになることがあります。当事者団体は、緊張して吃っているわけではないので「リラックスして」「ゆっくり話せばいいよ」とアドバイスしないでほしい、遮ったり憶測して代わりに言ったりせずに言い終わるまで待ってほしい、と書いています。言い添えるより、待つほうが難しく、そして役に立ちます。
落とし穴3 − 番組で見た1つの場面を、全員に当てはめる
番組が紹介したカフェの公式ページ自身が、症状や対処法は人によって大きく異なるので、吃音の人はこうすれば良いという決まった方法はない、十把一絡げな考えは的外れな支援につながる、と書いています。自然に治る人もいれば、訓練や通級を経ても続く人もいます。目の前の人に「どうしてほしいか」を聞くことが、いちばん確実です。気になる様子があるなら、日々の場面を書き留めておくと、相談のときに役立ちます。まずは記録から小さく始め、言語聴覚士やことばの教室、お住まいの地域の窓口に相談できる場合はそちらが確実です。
よくある質問
「きょうの健康」の吃音症の回は、いつ放送されましたか?
「誤解しないで!この病気 「吃(きつ)音症」」の初回放送日は2023年3月14日(火)です。公式ページの出演者欄には、慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室の助教が挙げられています。現在の放送予定については、公式ページに「放送予定はありません」と記載されています。
番組で紹介された「100万人〜120万人」という数字の根拠は何ですか?
番組の公式ページは推計値だけを示していて、出どころを書いていません。同じ大きさの数字では、当事者団体の公式ページが全国で約120万人としたうえで、参考に国立障害者リハビリテーションセンター研究所を挙げています。学会の解説は、学童期以降成人までのある時点で吃音のある人の割合を0.8%が妥当としており、番組の「成人の100人に1人ほど」と近い大きさです。
「今日の健康」で探しているのですが、同じ番組ですか?
同じ番組です。公式の表記は「きょうの健康」で、吃音症を扱った回のタイトルは「誤解しないで!この病気 「吃(きつ)音症」」です。ひらがなと漢字のどちらで覚えていても、同じ回を指しています。
番組を見て気になりました。全国どこでも相談できる場所はありますか?
教育センター・特別支援教育センターは各都道府県や政令指定都市等に設置され、多くの機関が電話相談と来所相談を行っています。発達障害者支援センターは各都道府県や政令指定都市に置かれ、幼児から成人までとその家族の相談を受けます。ただし支援の内容はセンターごとに異なるため、近くのセンターに直接問い合わせるよう案内されています。詳しくは吃音の相談先の記事をご覧ください。
吃音のある人には、どう接すればいいですか?
当事者団体は、遮ったり憶測して代わりに言ったりせずに言い終わるまで待つこと、「リラックスして」「ゆっくり話せばいいよ」とアドバイスしないこと、真似しないこと、他の人と同じように接することの4つを挙げています。ただし症状も対処法も人によって大きく異なるため、決まった方法はないとも明記されています。番組も、よかれと思ってする声がけがプレッシャーになることがあると伝えています。
まとめ
- NHK「きょうの健康」の吃音症の回は2023年3月14日が初回放送で、慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室の助教が出演者に挙げられている。この記事が扱えるのは、公式ページに残っている記載の範囲だけ。
- 番組が挙げた3つの症状は、国立障害者リハビリテーションセンター研究所のいう連発・伸発・難発と同じもの。学会の解説は、これに随伴する動きや調子の「波」を加えている。
- 「100万人〜120万人」の出どころは番組ページに書かれていない。近い数字としては、当事者団体の約120万人、学会のいう成人の時点有症率0.8%がある。日本の3歳児健診では、健診時点で6.5%、3歳までに一度でも吃音があった子が8.9%だった。
- 「多くは自然に治る」は正しいが、残りの2〜3割は症状が固定化していくとも同じ資料に書かれている。訓練や通級を通っても続く経路がある。
- 「ゆっくり」「落ち着いて」が負担になるのは、吃音が緊張から起きているわけではないから。外からタイミングが与えられる場面では消えることから、発話のタイミングの障害と言われている。
- 相談の入口は全国に置かれている。教育委員会・教育センター・発達障害者支援センターは都道府県や政令指定都市の単位で設置され、多くが電話相談を受けている。制度の側にも、合理的配慮・電話リレーサービス・手帳という後ろ盾がある。