つばさ吃音相談室|名古屋市中区栄・2つの支援と費用の考え方

目次

「つばさ吃音相談室」という名前にたどり着いて、このページに来た方が多いと思います。名前は分かった。でも、場所はどこなのか、うちの子は対象なのか、いくらかかるのか——そこが埋まらないと、問い合わせのボタンは押せません。福祉サービスの案内は制度の言葉で書かれていることが多く、初めて読む人には、どれが自分に当てはまる話なのかが掴みにくいものです。

この記事では、つばさ吃音相談室が公式サイトで公開している内容を、書かれている範囲だけで整理します。そのうえで、どの相談先にも同じように当てはめられる「申し込む前に確かめる4点」にまとめます。よりどころにするのは、こども家庭庁が示している障害のある子どもの福祉サービスの利用者負担の仕組み、日本言語聴覚士協会の相談ページ、吃音ポータルサイトの案内、そしてドイツの17学会がまとめた診療ガイドラインと、吃音の評価について専門家の合意で作られた指針です。あわせて、受給者証や相談室に実際に向き合った保護者・支援者4人の記録から、申し込みの前後で何が起きるのかを見ていきます。

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吃音当事者。研究論文と当事者の声をもとに、吃音の情報を出典つきで発信しています。

この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の判断に代わるものではありません。個々の相談先の受け入れ状況・対象・費用、および制度の内容は変わります。この記事に書いてあることを申し込みの根拠にせず、必ず各相談先の最新の案内と、お住まいの市町村の窓口でご自身で確かめてください。気になる症状があるときは、言語聴覚士やことばの教室、お住まいの地域の相談窓口にご相談ください。

まず結論から

  • つばさ吃音相談室は、特定非営利活動法人(NPO法人)が運営する、吃音症を専門とする事業所です。公式サイトには、児童発達支援と放課後等デイサービスを行う事業所であること、所在地が愛知県名古屋市中区栄であることが記載されています。
  • 支援サービスは大きく2つに分かれます。1つは児童福祉法に定める「児童発達支援」と「放課後等デイサービス」を提供する公的な福祉サービスで、通所による利用、対象は未就学児から高校生、オンラインでは利用できないと書かれています。
  • もう1つはオンラインによる支援サービスで、こちらは公的な福祉サービスではなく、受給者証がなくても、子どもから大人まで利用できるとされています。
  • 利用は完全予約制で、先に「初回相談」を受ける形です。初回相談は1時間程度、費用は無料、受給者証は不要で、本人が同席しなくても相談でき、対面のほかオンラインでも可能ですが、電話による相談には応じていないと書かれています。
  • 料金について公式サイトが書いているのは「受給者証を取得することにより、一定の費用負担で支援が受けられます」までです。公的な福祉サービスの自己負担には、所得に応じた月ごとの上限が定められています。

ただし、ここに書けるのは公式サイトに公開されている範囲だけです。いま新規に受け入れているか、費用が実際にいくらになるか、担当するのが誰かといった書かれていないことを、推測で埋めることはしていません。制度も案内も変わるので、必ず最新の案内とお住まいの市町村の窓口で確かめてください。

公式サイトに書いてあること — 2つの入口と、初回相談

民間の相談先の情報は、施設を紹介するさまざまなページに散らばっていて、どれが最新でどれが又聞きなのか分かりにくくなりがちです。いちばん確かなのは、その施設自身が出している案内です。ここでは、つばさ吃音相談室の公式サイトに書かれていることだけを並べます。

場所を確かめたい方のために先に書いておくと、公式サイトの法人概要に記載されている所在地は、愛知県名古屋市中区栄です。法人の名称は特定非営利活動法人つばさ吃音相談室で、提供しているサービスとして児童発達支援と放課後等デイサービスが併記されています。手元にある記録はこのトップページの範囲なので、拠点ごとの違いについてはここでは触れません。施設案内のページでご確認ください。

サービスの中身は、次の2つに分かれると書かれています。

  • ① 公的福祉サービス。児童福祉法に定める「児童発達支援」(未就学の子どもが通う福祉サービス)と「放課後等デイサービス」(小学生から高校生が学校の後などに通う福祉サービス)を提供するもので、全国でもめずらしい吃音症を専門とする福祉事業所だと書かれています。利用には受給者証(障害のある子どもが福祉サービスを使うために市町村から交付される証書)が要り、これを取得することで一定の費用負担で支援が受けられるとされています。対象は未就学児から高校生で、通所による利用となり、オンラインでは利用できないと明記されています。
  • ② オンライン支援サービス。こちらは公的な福祉サービスではないと明記されています。受給者証がなくても利用でき、子どもから大人まで誰でも利用できるとされ、1日の利用者数の制限はないと書かれています。あわせて、公的福祉サービスのほうは原則として1施設10人/日であることも注記されています。

入口が2つあるということは、同じ施設の名前でも、自分が該当するのがどちらなのかで条件がまるごと変わるということです。年齢の区切りも、オンラインが使えるかどうかも、受給者証が要るかどうかも、①と②で違います。

申し込み方についても書かれています。利用は完全予約制で、利用の前に必ず「初回相談」で利用方法や疑問点を確認するよう案内されています。その初回相談は、1時間程度、費用は無料、受給者証は不要、子ども本人が同席しなくても相談できる(症状はあらかじめ録画した動画などで確認することも可能)とされ、相談の様子は支援の資料とするために録画すること、実施していない曜日があること、対面のほかオンラインでも可能なこと、電話による相談には応じていないことが並べて書かれています。申し込みは電話または公式サイトからとされています。

ここから先は、この「2つの入口」を実際に通ろうとしたときに何が起きるのかを、受給者証や相談室に向き合った4人の記録から見ていきます。

公的福祉サービスで通うなら、受給者証が要る

公式サイトが書いている「受給者証を取得することにより、一定の費用負担で支援が受けられます」という一文は、制度を知っている人には十分でも、初めて読む人にはほとんど情報になりません。受給者証とは何で、それを取ると何が変わるのか。そこを先に押さえないと、①の入口は使えないままです。

年中から年長にかけての娘に吃音がある母(note・「じぇ@ことばの教育」名義の記録)

受給者証は 障害者手帳や療育手帳とは異なります。 児童福祉法に基づいて運営している事業所の福祉サービスを受けるために必要なものです。それまで我が家の選択肢には「支援センター内(無料&専門家無し)or 病院(専門家&無料診療)or 個人経営の教室(専門家&高額費用)の3択しかなかったのですが、受給者証取得によって、ここに様々な児童向けの事業所が加わることとなり、選択肢が一気に広がることになったのです。

この母親は、病院の中にあることばの教室に娘を通わせていた時期に、担当者との進め方が合わないと感じ、夫にも様子を見に来てもらったうえで、次に通う場所を探し始めました。ところが紹介された中で通える距離にあったのは1か所だけ。行き詰まっていたところに、たまたま遊んだ友人から受給者証という制度を教えられます。記録には、受給者証を受け取るには市区町村や児童相談所での手続きが必要であること、自分の市では医師の診断書は不要だがかかりつけ医などから「支援が必要」という一言と診断名を出してもらう必要があったことも書かれています。さらに、児童向けの福祉サービスの事業所の中でも言語聴覚士がいるところは限られるので事前に調査が必要だ、とも書き添えています。制度そのものの入口は、施設ではなく市町村の窓口にあります。

出典: 娘と吃音の話③〜ことばの教室〜(病院内)(note)(台帳: V0106)

制度の側から見ると、この仕組みはこう決まっています。児童福祉法にもとづく障害のある子ども向けのサービスは契約方式をとっていて、保護者は、通所して受けるサービスなら市町村に支給申請を行い、支給決定を受けたうえで、利用する施設と契約を結びます。つまり、施設に申し込む前に市町村の手続きがあり、施設との契約はその後に来ます。つばさ吃音相談室の①の入口も、この順番の上に乗っています。放課後等デイサービスについては、18歳以上になると障害者総合支援法にもとづくサービスに切り替わりますが、引き続き受けなければ福祉を損なうおそれがあると認められるときは満20歳まで利用できるとされています。

受給者証を使って通うときの手続きの順番を示した図。制度で決まっている順序で、相談室の案内ではない。1、どちらのサービスか——同じ相談室でも、公的福祉サービスとオンライン支援サービスで条件が変わる。公的福祉サービス(受給者証が要る)を選んだ場合は、2、市町村に支給申請する——児童福祉法にもとづく障害児通所支援は契約方式で、保護者が市町村に申請する。3、支給決定を受ける——どの書類が要るかは市町村の窓口で確かめる。4、施設と契約を結ぶ——施設との契約は、支給決定を受けた後に来る。5、18歳以上は制度が切り替わる——放課後等デイサービスの利用者は障害者総合支援法のサービスへ移り、引き続き受けなければ福祉を損なうおそれがあると認めるときは満20歳まで利用できる。オンライン支援サービス(受給者証は不要)を選んだ場合は、市町村の手続きは要らない——公的な福祉サービスではないと公式サイトに明記されている。
図1: 受給者証を使う入口では、施設に申し込む前に市町村の手続きがある。出典: こども家庭庁「利用者負担の仕組み」(障害児支援)/ 特定非営利活動法人つばさ吃音相談室 公式サイト(2026年9月12日時点の記録)

申請してみると、窓口ごとに答えが違うことがある

「市町村に申請する」と一行で書くと簡単に見えますが、吃音を理由に受給者証を取ろうとした人の記録を読むと、そこが最も時間を取られる場所だと分かります。吃音を扱い慣れていない窓口では、何が必要なのかの答えが人によって変わることがあるからです。

吃音のある幼稚園児の息子の母(記事内では「Aさん」。北海道吃音・失語症ネットワーク公式noteのインタビュー。聞き手は同団体代表)

そして療育センターに電話したところ、「診断書は必要ないです。すぐに受給者証をもらえますよ。区役所に行って、もらってください。」と言われたんです。

なので、区役所に電話をしたところ、「何もなしでは受給者証は出ません。保健センターの方に相談してください。でも1~2回通ったところでは、出ないと思います。」「クリニックにかかるなら、そこから診断書もらってください。どこの病院でもOKです。」みたいなことを言われました。

長野県の市から札幌市へ転居したこの母親は、吃音のある息子を放課後等デイサービスに通わせるため、受給者証を取ろうと動き始めました。療育センターと区役所で説明が食い違ったあと、耳鼻科に電話をすると、小児の吃音に関しては書類は出せないと言われます。理由として説明されたのは、吃音は耳鼻科の領域だけでなく精神科の領域も絡むため、耳鼻科だけでは診断書を出せなくなったということでした。事態が動いたのは、入学前の健康診断で相談した小学校の教員の助言を受けて、地域の保健センターに電話をしたときです。そこから心理士による発達相談を経て、区役所で受給者証が交付されました。取得までに半年かかった、と記録されています。手続きの入口は市町村にあり、そこで支給決定を受けてから施設と契約するのが制度の流れです。

出典: 「全てが曖昧で、情報に振り回されて大変でした。」吃音がある幼稚園児のお母様にインタビューしました。(北海道吃音・失語症ネットワーク)(台帳: V0075)

この記録が示しているのは、制度の側の決まり方と、窓口での実際の運用のあいだに幅があるということです。こども家庭庁の案内では、障害のある子どもの通所支援は市町村に支給申請を行い、支給決定を受けた後に施設と契約を結ぶ、と書かれています。手順としてはこれが全部で、どの書類が要るかの細かい部分は市町村ごとに決まります。だから、最初の電話はできるだけ早く、施設ではなく市町村の窓口にかけるほうが近道になります。そのとき「吃音がある子が通える事業所を利用したいので、受給者証の手続きを知りたい」と用件を先に言い切ってしまうと、たらい回しが一往復減ります。

なお、つばさ吃音相談室の②のオンライン支援サービスは公的な福祉サービスではないため、この手続きの対象外です。受給者証がなくても利用でき、初回相談も受給者証は不要とされています。制度の手続きに時間がかかっているあいだに相談だけ先に始めたい場合、入口が2つあることの意味はここに出てきます。ビデオ通話での相談が対面と何が違うのかは、オンラインの吃音相談の記事にまとめています。

通い始めたあとにも、続けるための手続きがある

受給者証が出て、事業所と契約して、ようやく通い始める。ここで終わりに見えますが、公的な福祉サービスとして通う場合、その後も定期的な手続きが続きます。相談先を選ぶときに見落とされやすいのがこの部分です。次に読むのは、吃音相談室を放課後等デイサービスとして利用していた母親が、その年に一度の手続きについて書いた記録です。

吃音のある次女を小学校時代から記録している母(個人ブログ「吃音っことのんびり生活~吃音症の娘のこと~」)

一年に一度、自治体からの調査があります。書類を出したり、病院で診断書もらったりしていろいろ手続きがあるのですが、病院から診断書をもらうのが、難しく 断念することにしました。

この母親は、小学校2年生のときから娘を吃音相談室に通わせてきました。やめると決めた理由は、相談室への不満ではありません。記録には、相談室には感謝しかなく、このまま続けようかとも思ったが、本人や家族と話し合って一旦やめることにした、と書かれています。年に一度の手続きで病院から診断書をもらうことが難しかったこと、放課後等デイサービスとしての利用ではない方法もあり続けようと思えばできたこと、中学に入ると土日も忙しくなるかもしれないので一旦やめて様子を見て、困ったことがあればまた相談に行こうという結論になったことが、順に記されています。相談室の担当者からは、ここはずっとあるから何かあればすぐに相談してほしい、という言葉をかけられたとも書かれています。年齢が上がっても続けられるかどうかは、制度の側でも区切りが決まっています。

出典: しー、言語訓練をやめる(吃音っことのんびり生活~吃音症の娘のこと~)(台帳: V0053)

制度の側の区切りを確認しておきます。放課後等デイサービスの利用者は、18歳以上になると障害者総合支援法にもとづくサービスに移りますが、引き続き受けなければ福祉を損なうおそれがあると認められるときは、満20歳まで利用できるとされています。つばさ吃音相談室の公的福祉サービスの対象は未就学児から高校生と書かれているので、この入口を使うなら、いつまで通えるのかという見通しも含めて考えることになります。

吃音との付き合いは、通い終わったら終わりという形にはなりにくいものです。大人の吃音についての総説は、現時点で大人の吃音を治す方法は無く、身につけた技法は本質的に補うためのもので、良くなった状態を保つには使い続ける必要があるとしたうえで、どんな治療でも、長期の方針を組み込むこと、本人が自分自身の指導者になれるように教えること、長く続く相談や追跡の機会を用意することが欠かせないと述べています。だからこそ、続けるための条件が何なのかを最初に聞いておくことに意味があります。

誰が担当して、そこで何をするのか

民間の相談室で最も差が出るのは、看板ではなく中身です。誰が担当し、どんなことをする場なのか。ここは公開されている案内だけでは分からないことが多く、初回相談で聞くべき筆頭になります。

岩田よしきさん(言語聴覚士・吃音の当事者。マイナビ保育士運営「ほいくらし」の取材インタビュー)

資格取得後は病院や高齢者施設で働いていましたが、「自分と同じように吃音に悩んでいる子どもたちの居場所をつくりたい」という思いが募り、2023年に「いわたコトバのそうだん室」を開設し、現在に至ります。

現在、教室に通っているのは100名ほどで、吃音のお子さんのほかに、発音に障害があるお子さんや言葉が遅いお子さんもいらっしゃいます。年齢に制限はないので中学生や高校生もいます。

この言語聴覚士は、学齢期に音読でつまずき、友だちに笑われたりまねをされたりする時期を過ごしながら、大学生になるまで自分の話し方に吃音という名前があることを知らなかったと語っています。吃音のある女性が登場するテレビドラマで自分と同じだと気づき、同じドラマでリハビリを担当する言語聴覚士という仕事を知って、資格を取る道に進みました。インタビューでは、自分の教室で行っていることを3つに分けて説明しています。保護者を対象にした関わり方の調整、遊びや絵本を使いながら行う話し方の練習、そして友だちにからかわれて人と話したくないと感じている子への心理面の手当てです。民間の相談室で何をするのかは、その場を開いた人の考え方によって形が変わります。だからこそ、専門職が担う評価の手順を知っておくと、聞くべきことが見えてきます。

出典: 「聞こう、待とう、私たちが変わろう」が基本。当事者でもある言語聴覚士が教える、吃音を持つ子どもとの向き合い方(ほいくらし)(台帳: V0120)

ことばの相談を担う国家資格が言語聴覚士です。日本言語聴覚士協会は、聞こえの障害・言語機能の障害・話しことばの障害・食べたり飲み込んだりすることの障害の4つを、この職種が扱う代表的な領域として挙げ、スムーズに話をすることが難しい吃音もことばの障害に含まれると明記しています。同じページは、言語聴覚士を、専門知識と技術を用いて検査・訓練・指導・援助を行い、障害のある人がよりよい生活を送れるように支援する専門職だと定義しています。

ただし、資格があることと吃音を扱っていることは別の話です。吃音ポータルサイトは、言語聴覚士の養成課程に吃音が含まれる一方で、取り扱う業務が多岐にわたるため、必ずしも全ての言語聴覚士が吃音の指導や支援を行えるわけではないとしています。扱っているかどうかは、病院に直接、あるいは協会や都道府県の言語聴覚士会に問い合わせるよう案内されています。言語聴覚士の探し方そのものは、吃音と言語聴覚士の記事にまとめています。

専門職が実際に何をするのかも、手順が決まっています。吃音の治療にふさわしい担い手は言語聴覚士であるとした総説は、評価がまず問診から始まり、話しにくさの程度と本人がどれだけ困っているかを聞き取ったうえで、いくつかの検査を行って重症度を判定する、という流れを示しています。治療はそこから選択肢を示す段階に入り、本人と一緒に個別の計画を作るとされています。初回相談で「うちの子の場合は何をどう見て、どう決めていくのですか」と聞けるのは、この流れが分かっているからです。

費用は、どちらの入口かで考え方が変わる

料金を知りたい気持ちは、この施設に限らず、民間の相談先を探すときにいちばん強く出ます。先に結論を書くと、つばさ吃音相談室の公式サイトに金額の記載はありません。書かれているのは、受給者証を取得することにより一定の費用負担で支援が受けられるということと、初回相談の費用は無料だということです。

①の公的福祉サービスの側は、施設が値段を決めているのではなく、制度で決まっています。こども家庭庁の案内によれば、障害のある人の福祉サービスの自己負担は、所得に応じて4つの区分の負担上限月額が設定され、その月にどれだけサービスを使っても、それ以上の負担は生じない仕組みになっています。つまり「回数×単価」ではなく「上限まで」という考え方です。所得を判断するときの世帯の範囲も決まっていて、障害のある子どもの場合は保護者の属する住民基本台帳での世帯が対象になります。通所して受けるサービスでは、所得の低い区分について食費の負担が軽減される仕組みも別に置かれています。⚠ 区分ごとの金額は制度の改定で変わるため、この記事には転記しません。最新の区分と額は、こども家庭庁の「利用者負担の仕組み」のページでご確認ください。

②のオンライン支援サービスの側は、公的な福祉サービスではないと明記されています。したがって上の上限の仕組みは当てはまりません。公式サイトのこの範囲に書かれているのは、受給者証がなくても利用できること、初回相談は1時間程度で費用は無料であることまでです。それ以外の費用については、初回相談の場で直接確かめることになります。

この「制度で決まる負担なのか、施設が決める料金なのか」という分かれ目は、どの民間の相談先にも当てはまります。同じ「相談室」という看板でも、受給者証を使う福祉サービスとして運営されている場合と、そうでない場合では、費用の決まり方も、対象年齢も、手続きの相手も変わります。名古屋・愛知でほかの相談先も見比べたい場合は、なるみ吃音相談室と名古屋・愛知の吃音相談の記事で、同じ角度から案内ページの読み方を整理しています。

申し込む前に確かめる4点と、方法の見方

ここまでを、どの相談先にも当てはめられる形にまとめると、確かめることは4つです。

  • ① 公的な福祉サービスか、そうでないか。受給者証が要るのか要らないのかで、手続きの相手(市町村か、施設か)も、費用の決まり方も変わります。つばさ吃音相談室の場合は、この2つを併設していることが公式サイトに明記されています。
  • ② 対象と、相談の形。年齢の区切りと、通所なのかオンラインなのか。つばさ吃音相談室では、公的福祉サービスは未就学児から高校生で通所のみ、オンライン支援は子どもから大人までとされています。
  • ③ 誰が担当するか。言語聴覚士は話しことばの障害を扱う国家資格で、吃音もその領域に含まれますが、全員が吃音の指導や支援を行えるわけではないので、事前に問い合わせるよう案内されています。
  • ④ 何をする場で、続けるのに何が要るか。評価は問診から始まり、検査を経て、本人と一緒に個別の計画を作るという流れが標準です。公的な福祉サービスとして通う場合は、支給決定の更新など、続けるための手続きも発生します。

そのうえで、示された方法をどう受け止めればよいかについても、目安があります。吃音への行動面の取り組みを整理した総説は、子どもでは、話し方に対して大人がその場で言葉をかける形の方法に、大人では、話し方そのものを組み立て直す訓練に、最も厚い裏づけがあるとしています。一方で、子どもに対して複数の要因に働きかける方法や、大人向けに広く行われている吃音との付き合い方を扱う方法は、理論の上に組み立てられている部分が大きく、裏づけは厚くないとも書いています。同じ総説は、第1相から第3相の臨床試験まで裏づけがあるのは現時点で1つの子ども向けプログラム(リッカム法)だけだとも述べています。

年齢によっても事情が違います。ドイツの17学会がまとめた診療ガイドラインは、就学前の子どもと、思春期以降の人については根拠のある方法を挙げられる一方で、6歳から12歳の子どもについては、どの治療にも確かな根拠がないとしています。根拠が無いことは「やっても無駄」という意味ではありませんが、「この年齢にはこれが効きます」と断言される場面では、いったん立ち止まる材料になります。

いつ動くかについても、同じガイドラインが目安を書いています。3歳から6歳の子どもは、吃音が始まってから6〜12か月のあいだ経過を観察し、その期間を過ぎても続くようなら訓練を始めるとしています。ただし、持続につながる危険がいくつも重なっている場合、力が入って出てこない・自分で止められないといった症状が長く続く場合、症状が本人や親にとって負担になって避ける行動が出ている場合には、直ちに始めるべきだとしています。同じガイドラインは、就学前に訓練を終えることを目指すとしながら、完全な回復は保証できないとも明記しています。

相談先が決まるまでの待ち時間は、材料を集める時間にできます。吃音の評価について専門家の合意で作られた指針は、年齢を問わない共通の中核として、背景の情報・ことばと気質の発達・話し方の流暢さと吃音の出方・本人の反応・周囲の反応・生活への支障の6つの領域を挙げています。この順に、いつごろ始まったか、どんな場面でどう出るか、本人が何を避けているか、周りがどう反応しているか、いま一番困っている場面は何かを書き留めておけば、初回相談の限られた1時間がそのまま使えます。

民間の吃音相談を選ぶときの3つの落とし穴

落とし穴1 − 「オンラインでも公的なサービスが使える」と思い込む

同じ施設が2つのサービスを持っている場合、条件が混ざって覚えられがちです。つばさ吃音相談室の公式サイトは、公的福祉サービスは通所による利用で、オンラインによる利用はできないと明記しています。一方のオンライン支援サービスは、公的な福祉サービスではないと書かれています。受給者証が要るのはどちらなのか、オンラインで受けられるのはどちらなのかを、最初に分けて確認してください。制度としての利用者負担の上限が関係するのは、公的なサービスの側だけです。

落とし穴2 − 受給者証さえ取れば、どこでも同じだと考える

受給者証で通える事業所は増えますが、中身まで同じになるわけではありません。受給者証を取って通い先を選んだ母親は、児童向けの福祉サービスの事業所の中でも言語聴覚士がいるところは限られるので事前に調査が必要だ、と自分の記録に書き残しています。制度の側から見ても、言語聴覚士が扱う領域は幅広く、全員が吃音の指導や支援を行えるわけではありません。どんな職種の人が担当し、吃音を扱った経験があるのかは、事業所ごとに確かめる項目です。相談先の入口の種類そのものは、吃音の相談先の記事にまとめています。

落とし穴3 − 手続きが終わるまで、何もできないと思ってしまう

受給者証の取得に半年かかった例があるように、制度の手続きには時間がかかることがあります。その間を空白にする必要はありません。専門家の合意で作られた評価の指針が挙げる6つの領域(背景の情報・ことばと気質の発達・話し方の流暢さと吃音の出方・本人の反応・周囲の反応・生活への支障)に沿って記録を作っておけば、初回相談でそのまま材料になります。子どもについては、様子を見る期間の目安と、待たずに動く条件もガイドラインに書かれています。まずは気づいたことを記録することから小さく始め、言語聴覚士やことばの教室、お住まいの市町村の窓口に相談できる場合はそちらが確実です。

よくある質問

つばさ吃音相談室はどこにありますか?

公式サイトの法人概要には、特定非営利活動法人つばさ吃音相談室の所在地として愛知県名古屋市中区栄が記載されています。同じページには、提供しているサービスとして児童発達支援と放課後等デイサービスが併記されています。手元にある記録は公式サイトのトップページの範囲なので、拠点ごとの違いについては施設案内のページでご確認ください。

つばさ吃音相談室の料金はいくらですか?

公式サイトに金額の記載はありません。書かれているのは、受給者証を取得することにより一定の費用負担で支援が受けられるということと、初回相談は1時間程度で費用は無料だということです。公的な福祉サービスの自己負担は、所得に応じた4区分の負担上限月額が設定され、その月にどれだけ使っても上限を超える負担は生じない仕組みです。金額は制度の改定で変わるので、こども家庭庁の「利用者負担の仕組み」のページで最新の区分をご確認ください。

受給者証がなくても相談できますか?

公式サイトによると、オンラインによる支援サービスは公的な福祉サービスではなく、受給者証がなくても利用できるとされています。また、利用の前に受ける初回相談についても、受給者証は不要で、費用は無料、子ども本人が同席しなくても相談できると書かれています。一方、児童発達支援と放課後等デイサービスを使う公的福祉サービスのほうは受給者証が必要で、その手続きは市町村への支給申請から始まります。

大人でも利用できますか?

公式サイトでは、公的福祉サービスの対象は未就学児から高校生とされ、オンラインによる支援サービスは子どもから大人まで誰でも利用できるとされています。大人が相談先を探すときは、吃音を扱っているかどうかを事前に問い合わせるよう案内されていることも知っておくと役に立ちます。

民間の吃音相談室を選ぶとき、何を確かめればいいですか?

4点あります。①受給者証を使う公的な福祉サービスか、そうでないか。②対象年齢と、通所かオンラインか。③誰が担当するか——言語聴覚士は話しことばの障害を扱う国家資格ですが、全員が吃音の指導や支援を行えるわけではありません。④何をする場で、続けるのに何が要るか。評価は問診から始まり検査を経て個別の計画を作るのが標準の流れです。

まとめ

  • つばさ吃音相談室は特定非営利活動法人が運営する吃音症を専門とする事業所で、公式サイトの法人概要には所在地として愛知県名古屋市中区栄が記載されている。
  • 支援サービスは2つ。児童福祉法に定める児童発達支援と放課後等デイサービスを提供する公的な福祉サービス(受給者証が必要・未就学児から高校生・通所のみ)と、公的な福祉サービスではないオンライン支援サービス(受給者証不要・子どもから大人まで)に分かれている。
  • 利用は完全予約制で、先に初回相談を受ける。初回相談は1時間程度・費用は無料・受給者証は不要で、本人が同席しなくてもよく、対面のほかオンラインでも可能だが、電話による相談には応じていない。
  • 公的な福祉サービスの費用は施設ではなく制度で決まる。自己負担には所得に応じた4区分の負担上限月額が設定され、その月にどれだけ使っても上限を超える負担は生じない。金額は改定で変わるので原典で確かめる。
  • 手続きの入口は施設ではなく市町村。通所支援は市町村に支給申請し、支給決定を受けた後に施設と契約する。放課後等デイサービスは18歳以上で障害者総合支援法にもとづくサービスに移り、必要と認められれば満20歳まで利用できる。
  • 言語聴覚士は話しことばの障害を扱う国家資格で吃音もその領域に含まれるが、全員が吃音の指導や支援を行えるわけではないので事前に問い合わせる。評価は問診から始まり、検査を経て、本人と一緒に個別の計画を作るのが標準の流れ。
  • 相談先が決まるまでの時間は、評価で見られる6つの領域に沿って記録を作る時間にできる。子どもの開始時期の目安と、待たずに動く条件は診療ガイドラインに書かれている。

参考文献

  1. 特定非営利活動法人つばさ吃音相談室 公式サイト トップページ(2026年9月12日時点の記録)
  2. こども家庭庁「利用者負担の仕組み」(障害児支援)
  3. 一般社団法人 日本言語聴覚士協会「言語聴覚士に相談する」
  4. 吃音ポータルサイト「相談や支援」(成人の方)
  5. Blomgren (2013) Behavioral treatments for children and adults who stutter: a review. Psychol Res Behav Manag.(ユタ大学)
  6. Brundage et al. (2021) Consensus Guidelines for the Assessments of Individuals Who Stutter Across the Lifespan. Am J Speech Lang Pathol.
  7. Neumann et al. (2017) The Pathogenesis, Assessment and Treatment of Speech Fluency Disorders. Dtsch Arztebl Int.(ドイツの17学会による診療ガイドライン)

保護者・支援者の声の出典: V0106(note・年中〜年長の娘に吃音がある母の記録)/ V0075(北海道吃音・失語症ネットワーク公式noteのインタビュー・吃音のある幼稚園児の母)/ V0053(アメブロ・吃音のある次女を小学校から記録している母のブログ)/ V0120(ほいくらし・当事者でもある言語聴覚士へのインタビュー)。いずれも公開記事。引用は原文どおり。

更新履歴: 2026-09-12 公開