まず結論から
- 吃音に有効性が確立された薬はなく、吃音を適応として保険で使える薬もありません。米国でも、吃音の治療薬として承認された薬は一つもありません。
- 2024年6月までの研究を世界中から集めた2025年の系統的レビューは、17種類の薬のグループと4つの食事療法を調べた39件をまとめ、有望に見える所見があっても、方法上の限界のために確定的な治療の推奨はできないと結論しています。
- そのレビューの要旨が名前を挙げて評価している治療は、新しい世代の抗精神病薬、アトモキセチン、銅・チアミン・緑茶・アーユルヴェーダのサプリメントで、漢方薬の名前はありません。柴胡桂枝湯を吃音で調べた研究は、この記事が参照した範囲に見当たりません。
- 薬が使われるとすれば、吃音そのものというより、吃音が原因となった二次的な抑うつや、人前で話す場面などに強い不安が出る状態(社交不安障害)に対してです。
- 「根拠が不十分」は「効かない」ではありません。レビューが分野全体の問題として挙げたのは、有効成分の入っていない偽の薬(プラセボ)と比べる無作為化試験が無いこと・結果の測り方がばらばらなこと・人数が小さいことです。
ただし、柴胡桂枝湯そのものについては、「効く」と言える材料も「効かない」と言い切れる材料も、この記事の手元にはありません。いま処方されて飲んでいる方は、自己判断でやめたり量を変えたりせず、処方した医師や薬剤師に相談してください。
「吃音に効く薬」を探す気持ちは、100年前からあった
薬で吃音を何とかできないか——その問いは、いま調べている方が最初に思いついたものではありません。明治の終わりから大正にかけて生きた思想家が、自伝の中に、子どものころの家の様子を書き残しています。
大杉栄(明治〜大正期の思想家・故人。自伝『自叙伝』の本文/青空文庫)
父はそれを非常に心配して、「吃音矯正」というような薬を本の広告で見ると、きっとそれを買って僕にためして見た。が、いつもその効は少しもなかった。
こう言うとよく人は笑うが、僕には一種ごく内気な恥かしやのところがある。ちょっとしたことですぐ顔を赤くする。人前でもじもじする。これも生れつきではあろうと思うが、吃りの影響も決して少なくはあるまい。また、言いたいことがなかなか言えないので、じりじりする。いら立つ。気も短かくなる。また、人が何か笑っていると、自分の吃るのを笑っているのじゃあるまいかと、すぐ気を廻す。邪推深くなる。というような精神上の影響がかなりあるように思う。
「それ」とは、本人の吃音のことです。父方の親戚に吃音のある人が大勢いた、生まれつきの吃音だったらしい、と本人はこの直前に書いています。父は本の広告で「吃音矯正」という薬を見るたびに買って、息子に試した。その効き目は「いつも少しもなかった」。本人はこれを笑い話めかして書きながら、そのあとに、内気で顔が赤くなる、じりじりしていら立つ、人の笑い声を自分のことだと勘ぐる、という「精神上の影響」を並べています。広告の薬を買い続けた父の心配と、吃音のある本人が抱えていた気持ちの側の困りごと。この二つは、100年たった現在の解説でも、別々の問いとして扱われています。
出典: 自叙伝(青空文庫)(台帳: V0501)
では、100年のあいだに薬の研究はどこまで進んだのでしょうか。2025年に、吃音に対する薬と食事による治療の研究を、決めた手順で世界中から集めて評価しなおした報告が出ています。こうした報告は「系統的レビュー」と呼ばれます。メルボルン大学とマードック小児研究所の研究者らが、主要な医学データベースを開設時から2024年6月までさかのぼって調べ、研究の設計を限定せずに集めたものです。組み入れられたのは39件で、17種類の薬のグループと4つの食事療法が扱われていました。研究の87%は、青年・成人の持続する吃音を対象にしたものです。参加者をくじ引きのように割り付けて比べる試験(無作為化比較試験)は19件ありましたが、結果がかたよりにくい作りだと評価されたのは、そのうち7件だけでした。
この要旨が名前を挙げて評価しているのは、新しい世代の抗精神病薬(ドーパミンという脳内の物質の働きを抑える系統の薬で、従来型より副作用の面で受け入れやすく有望な結果)、言語療法と組み合わせたアトモキセチン(子どもで言語療法のみより吃音の減りが大きかった)、そして銅・チアミン・緑茶・アーユルヴェーダのサプリメント(根拠不十分)です。漢方薬の名前は、ここには出てきません。柴胡桂枝湯を吃音で調べた研究は、このレビューの要旨にも、この記事が参照したほかの資料にも見当たりませんでした。
結論の側も、はっきりしています。有望に見える所見があっても、方法上の限界のために確定的な治療の推奨はできない、というのがレビューの結論です。日本の発達性吃音の研究プロジェクトの解説も、吃音に有効性が確立された薬物はない、3分の1程度の症例に有効だと報告されているものはあるが、吃音を適応として保険で使える薬はない、と明記しています。米国でも、吃音の治療薬として食品医薬品局(FDA)に承認された薬は一つもありません。「吃音矯正」の薬を買い続けた父から100年たっても、「吃音に効く薬」は、承認された形ではまだ存在していないということです。
「薬もある」と言われたとき——その薬は、何に対する薬なのか
薬の名前と吃音を結びつけて調べている方の中には、実際に診察室で薬を勧められた方もいるはずです。そのとき確かめておきたいのは、効くかどうかの前に、その薬が「何に対する」薬なのか、です。高校生の娘の受診に同席した父親が、結果を聞いた日のことを書いています。
保護者の声(高校生の長女の受診に同席した父。本人も吃音当事者/個人ブログ。医師の言葉は妻から伝え聞いたもの)
全て口頭だったようですが「発達障害ではない」と。「緊張が強く辛いなら薬もある。うつ病の薬だから、そこは理解してほしい」
病院は6/28で終了となりました。
ホッとしたような、残念なような。
予約から初診まで半年待ち、数時間の検査を経て、結果は妻から伝え聞いた——そういう日の記録です。娘は受験生で、その半年前には精神的に参っていた、と父は書いています。医師が「薬もある」と言ったとき、そこには「うつ病の薬だから、そこは理解してほしい」という断りが付いていました。父自身は、薬と難発(声が出ずに詰まる症状)の関係についてSNSや本で読んだことがあり、本人が望むなら動こうと思う、と続けています。医師の断り方は、日本の解説が薬を位置づけている場所と重なります。薬物療法が行われることがあるのは、吃音が原因となった二次的な抑うつや社交不安障害に対してです。
出典: 吃音持ちの長女が「(現状だと)精神障害者保健福祉手帳無理」と病院から言われた話(個人ブログ「吃音(どもり)ネタを貼ってくブログ」)(台帳: V0101)
「緊張が楽になる」と「どもりが減る」は、同じことのように聞こえて、研究では別々に動いています。カリフォルニア大学リバーサイド校の薬理学の総説は、オーストラリアの研究を引いて、吃音のある大人が不安症を持つ確率は6〜7倍高いと述べたうえで、考え方と行動のクセに働きかける心理療法(認知行動療法)を発話の訓練と組み合わせた臨床試験では、認知行動療法は吃音の頻度そのものには影響しなかったが、日常の話す場面での不安と回避を減らした、と紹介しています。薬の側にも同じ構図があります。抗不安薬の一種(ベンゾジアゼピン系)は短期的には不安を下げましたが、流暢さ(なめらかに話せること)の改善は示さず、偽の薬と比べた利点もありませんでした。
つまり、緊張や不安をやわらげる薬が処方されたとしても、それは「吃音を治す薬」ではなく、「吃音に伴うつらさに対する薬」です。どちらも大切な手当てですが、期待するものが違えば、飲んだあとの評価も違ってきます。処方されたときに「この薬は何を狙っていますか」と一言たずねておくと、あとで「効いた」「効かなかった」を判断する物差しがずれません。薬ごとの研究の中身はサプリメントと薬の現在地を扱った記事に、西洋薬の個別の話は別の記事に分けています。
飲みはじめてから——効き目の実感と、やめるときに起きたこと
処方された薬を実際に2年ほど飲んだ人の記録があります。飲んでいるあいだに感じたこと、副作用、そしてやめたときのこと。薬の名前や量は、ここでは伏せます。
当事者本人(名義「わをん」。大学の研究室に所属していた当時の服薬を回想/個人ブログ note)
当然プレゼンした記憶も、服を買いに行った記憶もなく、レシートをみて唖然としました。服なんて普段は安物ですからね。
このままではやばいと思って、薬を捨てて飲むのを辞めました。
ちなみに突然やめた影響で離脱症状が強く出てしまったので、ちゃんと医師に相談してから辞めた方がいいです。
発表の機会が多い研究室に入り、それがきつくて、「抗うつ薬や抗不安薬が吃音に効く」と書かれた記事をネットで見つけ、すぐ近くの精神科へ行った——そこから約2年の記録です。本人は、予期する不安が明らかに減ったと感じた一方で、「期待していたほどの絶大な改善は見られなかった」とも書いています。吐き気、強い眠気、話している最中に意識がもうろうとして気づくと終わっている感覚、飲み続けるうちに効かなくなって量が増える悪循環。引用したのは、発表の前に薬を飲んだあと、気づいたら玄関で眠っていて、覚えのない買い物の紙袋を手にしていた日の記述です。そこで薬を捨てて突然やめ、離脱症状(薬を急にやめたときに体に出る反応)が強く出た。「医師に相談してから辞めた方がいい」という一文は、その経験から出ています。副作用の幅は、研究の側でも報告されています。
出典: 吃音改善のためにSSRIと抗不安薬を飲んだ話(note)(台帳: V0297)
2025年の系統的レビューは、報告された副作用の幅は大きく、ごく軽いものから服用の中止に至るほど重いものまであり、とくに従来型の抗精神病薬で目立った、としています。薬理学の総説も、最初期の薬の話として同じ構図を書いています。1980年の研究で流暢さの改善が示された第一世代の薬は、不快感や性機能の障害、体の動きに関わる副作用のために、長く飲み続けることができないものでした。「効く薬があっても続けられない」という構図は、この分野で古くから知られていることです。
もう一つ、この記録から受け取っておきたいことがあります。同じレビューは、今後の研究には、個人差と有害事象を勘案しながら、そろった手順で行う大規模な試験が要ると書いています。個人差、という言葉が入っているのは、一人ひとりの反応が違うからです。この人の2年間は、この人の2年間であって、次に飲む人の見通しではありません。逆に、「私には合わなかった」という記録が、ほかの人にも合わないことを意味するわけでもありません。ただし、やめ方だけは、誰にとっても同じ注意が当てはまります。処方薬を自己判断で急にやめない、変えない。この記録が最後に書き残しているのは、まさにそのことでした。
柴胡桂枝湯について、この記事が言えることと言えないこと
ここまで薬全般の話をしてきました。では、柴胡桂枝湯そのものについて、この記事は何を言えるのでしょうか。正直に分けて書きます。
言えないこと。柴胡桂枝湯がどんな薬で、何のために使われ、どんな副作用があるのか——この記事はそれを書きません。参照した研究と解説のどこにも、この薬の記述が無いからです。薬そのものの説明は、添付文書と、処方した医師・薬剤師の説明が正本です。この記事が推測で補うと、出典の無い文が読者に届いてしまいます。
言えること。吃音に対する薬の研究を2024年6月まで集めた系統的レビューの要旨が名前を挙げている治療の中に、漢方薬はありません。日本の解説にも、米国の薬理学の総説にも、漢方薬の記述はありません。したがって「柴胡桂枝湯が吃音に効くかどうか」は、調べられていない、というのがこの記事の答えです。
ここで、言葉を二つ分けておきます。「調べられていない」は「効かない」ではありません。同時に、「否定されていない」は「効く」でもありません。レビューが分野全体の問題として挙げたのは、偽の薬と比べる無作為化試験が無いこと・結果の測り方がばらばらなこと・人数が小さいことでした。この3つが揃わない限り、どんな薬についても「効く」とも「効かない」とも言えない、というのが研究の側の物差しです。柴胡桂枝湯は、その物差しに乗せられる前の段階にあります。「根拠が不十分」という言葉の読み方はチアミン(ビタミンB1)を扱った記事で、「試した直後に楽になった」を効いた証拠にできない理由は整体を扱った記事で、それぞれ詳しく書きました。
もう一つ、比べる物差しが無いことも押さえておきます。言語訓練と薬を直接比べた試験は、まだ一つもありません。「訓練より薬のほうが早いのでは」「薬より訓練のほうが確実では」——どちらの方向にも、比べたデータは存在しないということです。
逆向きの話——薬が原因で吃音が出ることもある
薬と吃音の関係には、逆の向きもあります。飲んでいる薬が原因で、どもりが始まることがある、という話です。ヴァンダービルト大学医療センターの研究者らが、自分たちの医療機関の電子カルテ(診療記録)を調べた研究があります。
疑いのあった40件を独立に検討した結果、22件(55%)が「薬剤性吃音の可能性あり」と判定されました。関係が疑われた薬は18種類で、薬の分類としては抗てんかん薬・中枢神経刺激薬・抗うつ薬が最も多いものでした。子どもの疑い例はすべて8歳を過ぎてからの発症で、発達性吃音(子どものころに始まる、いちばん多い型の吃音)の典型的な発症年齢より後でした。
読むときの注意が二つあります。これは症例を数え上げたもので、起こる頻度を示した数字ではありません。そして原典自身が、電子カルテでの記載を改善しなければ証拠を積み上げられない、と結んでいます。ここから言えるのは、薬を新しく始めるとき、いま飲んでいる薬をすべて伝えておくこと、そして飲みはじめてから話し方が変わったと感じたら、自己判断でやめずに処方元に伝えること、の二つです。
飲む前に確かめること、そして相談先
ここまでを、漢方を含む薬を飲む前に確かめる順序に組み直します。柴胡桂枝湯に限らず、吃音を思って薬に手を伸ばすときに共通する項目です。
- その薬は何に対する薬か、を聞く。吃音そのものに有効性が確立された薬はなく、薬が使われるのは二次的な抑うつや社交不安障害に対してです。緊張や眠りに対する薬なのか、吃音そのものを狙った薬なのか。答えによって、あとで何を「効いた」と呼ぶかが変わります。
- 「効いた」をどう見るかを、飲む前に決める。研究の世界でも、結果の測り方がばらばらなことが分野全体の問題に挙げられています。個人でできるのは、日付と場面をつけて記録することです。「いつから、どの場面で、どのくらい」を書き留めておくと、1か月後に医師と話すときの材料になります。
- いま飲んでいる薬と体調を、すべて伝える。薬が原因で吃音が出ることがあり、抗てんかん薬・中枢神経刺激薬・抗うつ薬が多かったと報告されています。飲み合わせは、医師と薬剤師が見る領分です。
- やめるときも、始めるときと同じように相談する。自己判断で急にやめて離脱症状が強く出た、という当事者の記録をこの記事は引きました。処方薬を自分で捨てない、量を変えない。
- 吃音そのものの相談先を、薬とは別に持っておく。日本の解説は、治療の中心を、周りの人の接し方や場面のほうを変えること(「環境調整」と呼ばれます)・言語訓練・カウンセリング・心理療法や行動療法だとし、どの患者にも一様に有効な治療法はないので患者に応じてしばしば組み合わせる、と説明しています。窓口は、ことばの専門職である言語聴覚士と、子どもであれば地域の「ことばの教室」です。幼児期は、周囲がゆったりと楽に話し、どもるかどうかではなく内容を聞くようにして経過を見たうえで、悪化が見られる、始まってから1年半〜2年以上たっている、就学の1年前までに治っていない、家族歴などの危険因子がある、といった場合に訓練を検討するとされています。
治療の全体像は子どもと大人で違う治し方を整理した記事と訓練の技法を比べた記事に、手術や脳への刺激は手術を扱った記事に、どこで受けられるかはリハビリを扱った記事にまとめています。
この順序は、この記事が資料をもとに組み立てた提案であって、特定の資料が「確認の手順」として定めているものではありません。
「漢方なら」と思うときの3つの落とし穴
落とし穴1 − 「飲んで良くなった人がいる」を、効く証拠として読む
一人の経過は、その人の経過です。系統的レビューが分野全体の問題として挙げたのは、偽の薬と比べる無作為化試験が無いこと・測り方のばらつき・人数の少なさで、今後の試験には個人差と有害事象の勘案が要るとされています。「良くなった」という話を読むときは、何と比べたのか、誰がいつ測ったのか、を確かめてください。幼児期は、まず周囲の接し方を変えて経過を見ることが基本とされている時期でもあり、その時期の変化を薬のせいだと決めることはできません。
落とし穴2 − 「根拠がない」を「効かない」と読む(その逆も)
柴胡桂枝湯を吃音で調べた研究は見当たりません。それは「効かないと分かった」ではなく、「判断できる材料が無い」という意味です。同時に、「否定されていないから効く」でもありません。レビューは、有望な所見があっても確定的な推奨はできない、と結論しています。どちらの方向にも言い切れない状態を、そのまま受け取るのがいちばん正確です。
落とし穴3 − 自己判断で始める・自己判断でやめる
薬には副作用の幅があり、服用の中止に至るほど重いものも報告されています。薬が原因で吃音が出ることもあります。処方された薬は、始めるときも、やめるときも、処方した医師と。試すにしても、いつから何を飲んで話し方がどう変わったか(変わらなかったか)を書き留めておくと、相談の場で正確に伝えられます。
まずは気づいたことを書き留めておくことから小さく始め、言語聴覚士やことばの教室に相談できる場合はそちらが確実です。
よくある質問
柴胡桂枝湯は吃音に効きますか?
柴胡桂枝湯を吃音で調べた研究は、この記事が参照した範囲に見当たりません。吃音に対する薬と食事療法の研究を2024年6月まで集めた系統的レビューの要旨が名前を挙げている治療にも、漢方薬は含まれていません。吃音に有効性が確立された薬はなく、吃音を適応として保険で使える薬もありません。「効かない」とも「効く」とも言える材料が無い、というのが現在地です。
病院で、吃音のために薬を勧められました。飲んだほうがいいですか?
飲むかどうかは、処方した医師と本人が決めることです。この記事から言えるのは、その薬が何に対する薬かを確かめておく、ということです。薬物療法が行われることがあるのは、吃音が原因となった二次的な抑うつや社交不安障害に対してで、吃音そのものに有効性が確立された薬はありません。緊張や不安をやわらげる薬は、不安を下げても流暢さの改善は示さなかったと総説は述べています。
漢方薬なら副作用が少ないと聞きました。試してもいいですか?
漢方薬の副作用について、この記事の資料には記述がありません。薬全般では、報告された副作用の幅は大きく、ごく軽いものから服用の中止に至るほど重いものまであるとされています。試すかどうか、いま飲んでいる薬との飲み合わせは、医師・薬剤師に確かめてください。
飲んでいる薬でどもりが始まることはありますか?
医療機関の電子カルテを調べた研究では、疑いのあった40件のうち22件が薬剤性吃音の可能性ありと判定され、関係が疑われた薬は18種類、抗てんかん薬・中枢神経刺激薬・抗うつ薬が最も多い分類でした。これは症例を数えたもので、起こる頻度を示す数字ではありません。心当たりがあっても自己判断で中止せず、処方元に相談してください。
吃音そのものは、どこに相談すればいいですか?
治療の中心は、周りの接し方や場面を変えること・言語訓練・カウンセリング・心理療法や行動療法で、患者に応じて組み合わせるとされています。窓口は言語聴覚士と、子どもなら「ことばの教室」です。幼児期は、悪化が見られる、始まってから1年半〜2年以上たっている、就学1年前までに治っていない、家族歴などの危険因子がある、といった場合に訓練を検討するとされています。
まとめ
- 柴胡桂枝湯を吃音で調べた研究は、参照した範囲に見当たらない。2024年6月までの研究を集めた系統的レビューの要旨が名前を挙げる治療にも、漢方薬は無い。
- 吃音に有効性が確立された薬はなく、保険で使える薬も、米国で承認された薬もない。薬が使われるのは、二次的な抑うつや社交不安障害に対して。
- 「調べられていない」は「効かない」ではなく、「否定されていない」は「効く」でもない。研究の物差しは、偽の薬と比べる無作為化試験・そろった測り方・十分な人数の3つ。
- 緊張や不安を下げる薬は、流暢さの改善は示さなかった。副作用の幅は大きく、中止に至るものもある。薬が原因で吃音が出ることもある。
- 飲む前に、何に対する薬かを聞き、「効いた」の見方を決め、飲んでいる薬を全部伝え、やめるときも相談する。吃音そのものは言語聴覚士・ことばの教室へ。
